早期発見・早期治療で病気の進行を遅らせることが期待される7疾患が対象
治療可能な7つの難病の早期発見を目的とした研究のため、任意の有料検査(新しい新生児マススクリーニング検査)を新生児対象に行う取り組みが兵庫県下の16の病院で始まりました。対象疾患は、重症複合免疫不全症、脊髄性筋萎縮症、ポンペ病、ファブリー病、ゴーシェ病、ムコ多糖症1型、ムコ多糖症2型です。
現在、兵庫県や神戸市などの公的事業として、20の病気に対する新生児マススクリーニング検査(新生児の先天性代謝異常等の病気を見つけるための検査)が実施さており、生後間もない時期に採血が行われています。神戸大学を中心とした研究グループは、保護者の同意のもと、新生児の血液の一部を用いて、研究用の検査を行うことになりました。追加の採血は不要ですが、この検査は任意で有料です。
検査の結果、精密検査が必要と判断された場合のみ専門医が紹介され、本当に病気かどうかについて精密検査が行われます。精密検査で病気と診断された場合は、専門医による早期治療へとつながります。これらの病気を症状が出る前に早く見つけて、早く治療を行うことにより、病気の進行を遅くすることが期待されます。
早期発見は、病気の進行を抑える早期治療に結び付く
従来は治療法がなかった難病の中に、新しく治療が可能となった病気が増えてきた一方、それらの病気を早期に発見する方法がないことが課題となっています。難病の患者さんは、症状が出た後に病院を受診し、いろいろな検査を受けた後に診断される例がほとんどで、症状が出る前の早期に発見をする手段がありません。
対象疾患の1つである脊髄性筋萎縮症は、運動神経が十分に機能せず、全身の力が徐々に弱くなる病気。重症の場合、乳幼児期のうちに運動発達がとまり、次第に寝たきりとなり、食事をすることや呼吸ができなくなります。しかし、早期に治療を行うことにより運動発達を改善する治療が開発されています。
「症状が進行する前に病気が診断されると、早期に治療を開始することができます。早期発見により、病気の進行を抑える早期治療に結び付けたいと考えています」と、研究グループは述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)