「遺伝性網膜ジストロフィーにおける遺伝子診断と遺伝カウンセリング」先進医療B承認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 遺伝性網膜ジストロフィーの遺伝子診断・遺伝カウンセリングが先進医療に承認された
  2. 将来保険適用とするかの判断のために、これから有効性・安全性の評価が行われる
  3. 神戸市立神戸アイセンター病院で10月以降に開始の予定

網膜色素変性症などの目の病気、10月以降の開始に向けて準備

神戸市立神戸アイセンター病院は9月3日、「遺伝性網膜ジストロフィーにおける遺伝子診断と遺伝カウンセリング」について、先進医療Bの届出を行い、令和3年9月2日に開催された先進医療会議(厚生労働省主催)において承認されたことを発表しました。将来的に保険適用となることを目指し、10月以降の開始に向けて、必要な手続きなど、準備が進められていきます。

遺伝性網膜ジストロフィーは、遺伝子変異が原因で網膜の機能に進行性の障害をきたす一連の疾患で、代表的な疾患として網膜色素変性症があります。夜盲(暗いところでものが見えにくくなる)、視野狭窄(視野が狭くなる)などの症状から始まり、場合によっては失明する可能性がある遺伝性・進行性の病気です。

先進医療とは、効果・安全性などの評価が定まっていない新しい試験的な医療技術のうち、将来的に保険適用の対象にするかどうかを判断するため、有効性・安全性の評価を行う医療技術として厚生労働省が指定したものをいいます。このうち、未承認・適応外の医薬品や医療機器の使用を伴わない医療技術は先進医療A、これらの使用を伴う医療技術は先進医療Bに分類されます。

原因遺伝子特定でより適切な医療・ロービジョンケア情報の提供を可能に

「遺伝性網膜ジストロフィーにおける遺伝子診断と遺伝カウンセリング」では、遺伝性網膜ジストロフィーの患者さんに遺伝子検査を行い、原因遺伝子を特定することで、遺伝カウンセリングおよび治療計画策定を行うとともに、適切なロービジョンケア情報の提供を可能とするものです。ロービジョンケアとは、視覚に障害があるため、生活上何らかの支障がある人に対し、よりよく見るための工夫や機器の紹介、進路や就労を含むさまざまな相談・情報提供、福祉制度の利用など、多岐にわたる支援の総称です。

なお、同検査は令和2年2月にシスメックス株式会社と締結した包括連携契約に基づき、シスメックス株式会社および関連企業(株式会社理研ジェネシス)とで実施されます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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