ポンペ病の新たな酵素補充療法薬「ネクスビアザイム」が日本で承認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. ポンペ病の新たな酵素補充療法薬が承認された
  2. ポンぺ病の重大な各症状を、現在の標準治療薬よりも改善させる目的で開発された薬
  3. 新たな標準治療となる可能性

ライソゾーム病の一つ「ポンぺ病」でGAAという酵素を補う治療薬

サノフィ株式会社は9月27日、ネクスビアザイム(R)点滴静注用100mg(一般名:アバルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え))について、「ポンペ病」の効能または効果で、製造販売承認を取得したことを発表しました。

ライソゾーム病の一つであるポンペ病は、細胞内小器官の「ライソゾーム」で働く、酸性α-グルコシダーゼ(GAA)という酵素の設計図となる遺伝子に異常がみられる遺伝性疾患です。この異常により、GAAが十分に働かなくなる、または、全く働かなくなることが原因で、複合多糖(グリコーゲン)が全身の筋肉内に蓄積します。グリコーゲンが蓄積した筋肉は損傷し、肺を支える横隔膜などの呼吸筋や、運動機能に必要な骨格筋に影響が及びます。

ネクスビアザイムは、筋細胞の中にあるライソゾームにGAAを送り届けてグリコーゲンの分解を促すことで、ポンペ病がもたらす重大な症状である呼吸機能、筋力・身体機能(運動能力など)を標準治療薬のマイオザイム(R)(一般名:アルグルコシダーゼ アルファ)よりも改善させる目的で開発された薬です。用法および用量は、通常、遅発型の患者さんには1回体重1kgあたり20mg、乳児型の患者さんには1回体重1kgあたり40mgの同剤を含む点滴が隔週で行われます。

乳児型ポンペ病・遅発型ポンペ病の新規標準治療となる可能性

この薬は、遅発型ポンペ病の患者さんを対象としてネクスビアザイムの安全性と有効性を、標準治療薬のマイオザイムとの比較で検討した「COMET試験」(ピボタル第3相二重盲検比較試験)、および、マイオザイムによる治療で十分な効果が得られなかったか効果の減弱が見られた年齢18歳未満の乳児型ポンペ病患者さんを対象に、ネクスビアザイムの安全性を主に評価するとともに、探索的に有効性の評価を行った「Mini-COMET試験」(第2相試験)の2つの試験で肯定的な結果が得られたことに基づき、日本での申請から承認までに至りました。

同社はネクスビアザイムについて、ポンペ病(糖原病Ⅱ型)において、乳児型ポンペ病(IOPD)および遅発型ポンペ病(LOPD)の新たな標準治療となる可能性があるとしています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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