遺伝性血管性浮腫の発作発症を小児でも効果的に抑制、ラナデルマブ臨床試験の結果

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 12歳以上のHAE急性発作の発症抑制薬ラナデルマブについて、低年齢の患者さんにおける有効性と安全性を臨床試験で確認
  2. 2歳以上12歳未満の小児患者さんの発作発症率は、投与の開始時と比較して94.8%低下
  3. 患者さんに重篤な有害事象が起こることはなく、有害事象による投与中止もなかった

2歳以上12歳未満を対象にした第3相臨床試験の結果を報告

武田薬品工業株式会社は、12歳以上で承認されている遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制薬ラナデルマブ(遺伝子組換え)(商品名:タクザイロ)の予防的治療によって、2歳以上12歳未満の小児患者さんの発作を94.8%低下させることができたと報告しました。この結果は7月、2022年欧州アレルギー臨床免疫学会議(ハイブリッドで開催)で公表されました。

HAEは、世界で5万人に1人の頻度で発症すると推定される遺伝性疾患です。この病気は、腹部、顔面、足、性器、手、喉などの体のさまざまな部位に浮腫が繰り返し起こる発作を引き起こし、時には体を衰弱させたり、痛みを伴ったりするような深刻な腫れとなる場合もあります。特に喉に浮腫が起こると、気道がふさがり命に関わることもあります。しかし現時点では、6歳未満のHAE患者さんに対して承認されている長期予防治療薬がありません。

今回の臨床試験では、2歳以上12歳未満という低年齢を対象として、ラナデルマブの有効性や安全性が検証されました。同薬は成人や12歳以上の患者さんに対しては300mgを2週間ごとに投与しますが、2歳以上12歳未満では投与量は150mgと半分に減らしました。また、2歳以上6歳未満の患者さんには4週間ごとに1回、6歳以上12歳未満の患者さんには2週間ごとに1回の投与としました。

52週間の投与期間中、76.2%の患者さんが無発作

投与の結果、ラナデルマブの投与によって、投与開始時と比べて小児患者さんのHAEの発作発症率を94.8%低下させることができました。投与期間の発作は1か月当たり1.84回から0.08回に低下し、76.2%の患者さんが投与期間中の52週間において無発作でした。重篤な有害事象はなく、有害事象のために試験を中止した患者さんもいませんでした。今回の研究結果は、これまでの成人や12歳以上を対象とした試験での良好な有効性や安全性と一致していました。

武田薬品工業株式会社では、2022年度中に適応拡大に向けて世界各国でデータが提出される見込みであると説明しています。(遺伝性疾患プラス編集部、協力:ステラ・メディックス)

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