寒冷刺激によって発作が起こる
自治医科大学の研究グループは、自己炎症性疾患の一つであるクリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)の軽症例において寒冷刺激によって炎症が引き起こされる仕組みを解明したことを発表しました。
自己炎症疾患とは、自己免疫疾患や感染症とは異なり、原因が明らかではないにもかかわらず、身体に炎症反応(赤み、痛み、腫れ、発熱などの症状を起こす病的な変化)が起こる病気です。この中でもCAPSは、NLRP3という遺伝子の変異によって起こる病気で、難病の一つに指定されています。
CAPSには、軽症型の家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS)、中等症のMuckle-Wells症候群、重症型のCINCA症候群の3つの症候群が含まれます。このうちFCASでは、身体が低い温度にさらされる寒冷刺激によって炎症が引き起こされます。炎症が起こると、発熱やじんましんのような発疹、関節痛などの発作が現れます。
CAPSにおいて引き起こされるこれらの炎症は、インフラマソームと呼ばれる分子複合体が形成され、それによって炎症性サイトカインIL-1βが作られることで起こると考えられています。しかしこれまで、症状を引き起こす詳細な分子機序は明らかになっていませんでした。
今回、研究グループはFCASにおいて寒冷刺激により炎症が起こる仕組みについて明らかにしました。
寒冷刺激によりタンパク質の凝集体が作られる
研究の結果、CAPSでは、変異したNLRP3遺伝子から作られた異常なタンパク質の凝集体がインフラマソームの形成を引き起こすことがわかりました。
さらに、研究グループは、凝集体は寒冷刺激の影響を受けやすく、寒冷刺激を受けることで凝集体の形成が促され、さらにIL-1βも作られることも突き止めました。研究グループは今回の発見によってCAPSの新しい治療の開発につながると指摘しています。(遺伝性疾患プラス編集部、協力:ステラ・メディックス)