発達障害を自動でスクリーニングする動画活用システム、開発のための研究を開始

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 新生児の動画から、早期に発達障害を自動スクリーニングする技術開発に向け共同研究を開始
  2. 非接触のバイタルセンシング技術と自動評価可能な指標に落とし込んだ新生児科医師の知見を利用
  3. 早期に兆候を見つけ出すことにより、個々にあった働きかけや環境調整を実践することが可能となる

発達障害を早期に発見する技術

国立成育医療研究センターとエフバイタル株式会社は、新生児の動画から、より早期に発達障害の兆候を検出する自動スクリーニング技術の開発に向け、共同研究を開始したことを発表しました。

発達障害の認知度の高まりから、発達障害の診断数はこの10年で10倍以上に増加しています。その一方で発達障害に専門的知見を持つ医師・療法士の数は追いついておらず、診断や療育を受けられるようになるまでに長く待つこともあるとされます。厚生労働省の調査によると、保護者の8割は診断がつくよりも前に違和感に気づいていることが示されており、この時間差が、対処法がわからずに一人で悩んでしまうことにつながっているといいます。

一方、医療現場では、経験を積んだ新生児科医や看護師はNICU(新生児集中治療管理室)に入院する新生児の様子を中長期観察する中で、発達障害の早期傾向やリスクを肌感覚で捉えています。

新生児の動画を使い抽出した姿勢・表情・心拍数などのバイタルデータをもとに評価

研究では、子どもに特化した非接触のバイタルセンシング技術と、発達障害に関する医療者の知見を定量化し指標として併せて活用することで、自動スクリーニングのシステムが開発されます。保護者の同意を得た上で新生児の動画を取得し、それらの動画から自動で抽出した姿勢・表情・心拍数などのバイタルデータをもとに、新生児の動きや泣く様子を長時系列で評価します。

同センターでは早産で生まれた子どもが退院後、就学までフォローアップしており、フォローアップ時の発達障害スクリーニング結果と、動画の解析結果を照合することで発達障害の早期兆候を捉えます。

より早期に子どもの特性を検出することで、個々にあった働きかけや環境調整を実践することが可能になります。研究グループは、研究の成果はNICUの環境や退院後のフォローアップなど、発達障害に対する治療や療育にも役立てられると伝えています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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