2歳以上6歳未満の小児患者さん対象に承認された初のHAE発作抑制薬
武田薬品工業株式会社は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制薬ラナデルマブ(遺伝子組換え)(商品名:タクザイロ)について、2歳以上12歳未満の小児患者さんへの適応拡大が米FDAに承認されたことを発表しました。
HAEは、腹部、顔面、足、性器、手、喉などの体のさまざまな部位に浮腫が繰り返し起こる発作を引き起こす遺伝性疾患です。時には体を衰弱させたり、痛みを伴ったりするような深刻な腫れとなる場合もあり、特に喉に浮腫が起こると、気道がふさがり命に関わることもあります。
これまで6歳以上12歳未満の小児患者さんに対して承認された唯一の発作抑制治療選択肢は3~4日毎の投与を必要とし、2歳以上6歳未満の小児患者さんに対して承認されている発作抑制薬はありませんでした。今回の承認により、この年齢集団にとってラナデルマブは初の発作抑制薬となります。推奨用量は、2歳以上6歳未満の患者さんは、単回投与プレフィルドシリンジ150mg/1mLを4週間隔、6歳以上12歳未満の患者さんは2週間隔です。
臨床試験で、投与期間の発作は1か月当たり1.84回から0.08回に低下
今回の承認は、12歳以上18歳未満の患者さんを対象に含む臨床第3相試験(HELP試験)の有効性データや、2歳以上12歳未満のHAE患者さん21人における非盲検臨床第3相試験(SPRING試験)の安全性と薬力学データなどに基づきます。
SPRING試験では、ラナデルマブの投与によって、投与開始時と比べて小児患者さんのHAEの発作発症率を94.8%低下させることが示されていました。投与期間の発作は1か月当たり1.84回から0.08回に低下。平均99.5%の日数で無発作であり、患者さんの大多数(76.2%、n=16)は投与期間中に無発作だったことも示されていました。また、同試験において最もよくみられた有害事象は、注射部位疼痛(29%)、注射部位紅斑(14%)、注射部位腫脹(5%)、投与部位疼痛(5%)および注射部位反応(5%)でした。
米国遺伝性血管性浮腫協会(HAEA)のプレジデント兼CEOであるAnthony Castaldoは、「2歳という低年齢の小児患者さんを対象とする今回のタクザイロの対象年齢の引き下げの承認は待ち望まれたものであり、HAEの小児患者さんが使用できる重要な治療選択肢が追加されたことになります」と述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)