レット症候群、初の治療薬「Daybue」を米国FDAが承認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. ほとんどが女性に発症する希少遺伝性疾患「レット症候群」の症状を改善する初めての薬をFDAが承認
  2. 12週間の服用で、プラセボ群に比べ服薬群でRSBQスコアとCGI-Iスコアが有意に低下(有効性が示された)
  3. 主な副作用は下痢と嘔吐

朝晩2回服用の経口液タイプの薬

米国食品医薬品局(FDA)は、希少な遺伝性神経疾患であるレット症候群の初めての治療薬として「Daybue」(デイビュー、一般名:trofinetide、トロフィネチド)を承認したことを発表しました。治療の対象となるのは成人患者さん、および、2歳以上の小児患者さんです。Daybueは内服液で、用量は患者さんの体重によって決められます。1日2回、朝晩に、食事をしたかどうかに関わらず、経口または胃ろうチューブから服用します。

レット症候群は、女性の1万人に1人程度に発症する希少疾患で、男性に発症することは、さらにまれです。レット症候群では多くの場合、生まれたばかりの頃には症状が見られず、生後6か月~18か月の間に、はいはい、歩行、コミュニケーション、手指を使うなど、これまでできていたことができなくなってきます。こすったり叩いたりを繰り返す、特有な手の動きが見られ、神経に起こる症状は、話す、歩く、食べる、呼吸するなど、生活に大きく影響を及ぼします。

2つの評価尺度でDaybueによる症状の改善を確認

Daybueの安全性と有効性は、5~20歳のレット症候群患者さんを対象とした、12週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Study 1」(NCT04181723)で評価されました。患者さんは、Daybue群(93人)とプラセボ群(94人)に無作為に割り付けられ、12週間いずれかを服用しました。主要評価項目は、12週時点のRett Syndrome Behavior Questionnaire(RSBQ)スコアと、Clinical Global Impression-Improvement(CGI-I)スコアの、ベースライン(試験開始前)からの変化でした。RSBQは、レット症候群のさまざまな徴候や症状を、介護者が記入して評価する、45項目の評価尺度です。スコアが低いほど、レット症候群の徴候や症状の重症度が低いことを示します。CGI-Iは、患者さんの病気がどの程度改善/悪化したかを評価するために、臨床医が評価する7点満点の尺度です。CGI-Iスコアの低下は、改善を意味します。

試験の結果、Daybue群では、プラセボ群と比較して、RSBQスコアおよびCGI-Iスコアが統計学的に有意に低下しており、この治療薬の有効性が示されました。

主な副作用は、下痢(81%)、嘔吐(27%)で、Daybueを服用した患者さんの少なくとも10%、プラセボを服用した患者さんの2倍の割合で見られたとのことです。(遺伝性疾患プラス編集部)

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