ゾルゲンスマ治療後も臨床的なニーズ残るSMAの乳幼児を対象とした試験
米バイオジェンは6月30日、脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳幼児において、ゾルゲンスマ(R)(一般名:オナセムノゲンアベパルボベク)による遺伝子治療後、スピンラザ(R)(一般名:ヌシネルセン)での治療を行った臨床試験(RESPOND試験)の結果を発表し、治療を受けたほとんどの参加者で運動機能が改善されたと伝えました。
SMAは、遺伝子の異常により体内でSurvival Motor Neuron(SMN)タンパク質が不足することにより、脊髄の運動神経細胞に障害が起こり、筋力低下や筋肉の萎縮が起こる進行性の遺伝性疾患です。
スピンラザは、アンチセンス・オリゴヌクレオチドと呼ばれる核酸医薬の1種で、体内で作られるSMNタンパク質の量を増やすことでSMAを治療します。
RESPOND試験では、ゾルゲンスマによる遺伝子治療後にまだ治療の必要性が残っているSMAの乳幼児を対象に、スピンラザによる治療後の有効性と安全性を評価しました。
参加者の多くで運動機能のスコアが増加
今回、RESPOND試験の6か月後の中間結果が報告されました。その結果、スピンラザの治療を受けた27人の大部分において、運動機能の指標として用いたハマースミス幼児神経学的検査セクション2(HINE-2)の平均合計スコアが増加し、運動機能の改善が見られました。また、SMN2遺伝子を2コピー持つ人は、HINE-2のスコアが平均5ポイント以上改善し、SMN2遺伝子を3コピー持つ人は全員のスコアが改善しました。
また、報告された時点において、34%の参加者で重篤な有害事象が報告されましたが、スピンラザに関連するか試験の中断に至るような有害事象はありませんでした。
キングス・ドーターズ小児病院のクリスタル・プラウド医師は、「遺伝子治療が全ての運動ニューロンを治療できるわけではなく、その後に疾患が進行する可能性があることがわかってきました。今回の中間結果は、ゾルゲンスマの後のスピンラザ治療を評価する初の臨床試験データで、スピンラザ治療のさらなるベネフィットの可能性を示唆しています」と述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)