血友病の治療薬を特殊配送サービスで患者さん宅へ配送する取り組み、本格運用開始

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 血友病治療薬「イデルビオン」と「エイフスチラ」を患者さんの個人宅へ届けるサービスが開始された
  2. 血液製剤の定期投与が必要な血友病の治療では、温度管理が必要な医薬品をたくさん持ち帰る必要がある
  3. 新型コロナウイルス感染拡大による環境の変化から、医薬品宅配ニーズが高まっていた

定期的な製剤投与が必要な血友病の補充療法

CSLベーリング株式会社は、血友病の治療薬「イデルビオン(R)」(一般名:アルブトレペノナコグ アルファ)と「エイフスチラ(R)」(一般名:ロノクトコグ アルファ)について、アルフレッサ株式会社が構築したスペシャリティ医薬品の患者宅特殊配送サービス「Home Care Delivery」を運用することにより、患者さんの個人宅へ届けるサービスを開始したことを報告しました。

血友病は、血液を固めるための血液凝固因子が生まれつき不足や欠乏し、出血時に血が止まりにくくなることからさまざまな症状が引き起こされる疾患です。関節において出血が繰り返されることで変形や機能障害が起こり、日常生活にも影響を及ぼします。

血友病の治療では、血液製剤によって不足した血液凝固因子を補う補充療法が行われますが、血液凝固因子の活性を維持して出血を未然に防ぐために、定期的に製剤を投与することが必要です。また、通院する患者さんは持ち帰る医薬品の量が多く、温度管理も必要なことから、薬剤を運搬する負担もありました。

パイロット運用で品質の担保や安全な配送を確認

今回、このサービスが運用されることになった背景には、新型コロナウイルス感染拡大による医療提供体制の逼迫や、感染リスクにより患者さんが医療機関への受診を控えなければならない状況が発生したこと、さらに「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)が改正され遠隔服薬指導解禁などの環境の変化があったことなどから、患者さんの自宅への医薬品宅配ニーズが高まっていたということがありました。

2021年より関東圏において、イデルビオンを患者さん宅に配送するパイロット運用が実施されていました。その結果、Home Care Deliveryによって医薬品の品質を担保しつつ、安全な配送が可能であることが確認できたとして、今回、関東、中部、近畿(一部地域は除く)の医療機関を対象とした本格的な運用が開始されました。

CSLベーリングは、このサービスを通じて、患者さんの薬剤運搬の負担軽減につながるだけでなく、医療機関での不良在庫や廃棄のリスク低減にも寄与できる、と述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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