「血友病のライフステージと変化」調査、世界の当事者・介護者・専門医約2,700人対象
仏サノフィ社と米ハリス・ポール社(世論調査会社)は、「血友病のライフステージと変化」に関する調査結果を発表しました。
血友病は、血液凝固因子の活性が全くない、もしくは、十分な活性が得られないことにより、血が非常に止まりにくくなる遺伝性疾患です。不足する血液凝固因子が第VIII(8)因子の場合は「血友病A」、第IX(9)因子の場合は「血友病B」と呼ばれます。膝や肘などに繰り返し出血が生じることで、関節が変形したり動かしづらくなったりすることも。血友病に伴う症状は、当事者の生活の質(QOL)に影響を与えています。
今回の調査は、日本を含む世界11か国約2,700人(当事者950人、介護者1,080人、血液専門医679人)を対象に実施。血友病が当事者・介護者・医療従事者(血液専門医)に与える影響について、深く理解することを目的としました。
医師に伝えていない症状やその重さが、当事者のメンタルヘルスに影響
調査の結果、血友病に伴うさまざまな身体的・精神的な負担について、当事者とその介護者、専門医との間にコミュニケーションのギャップがあることが明らかになりました。
当事者の半数以上は、「医師に伝えていない症状がある」と回答。また、その症状の重さが、当事者自身のメンタルヘルスに影響を与えていることがわかりました。「不安を感じている」と回答した当事者は59%、「週に1回以上の頻度で気分が落ち込んでいる」と回答した当事者は51%となりました。
「家事」「仕事」「子どもの有無」など、当事者の生活にさまざまな影響
続いて、血友病による制限や継続的な苦労が、「家事」「仕事」「仕事やプライベートなどでの外出」など、当事者の生活に関わるさまざまなものに影響していることが明らかになりました。例えば、血友病を理由に「特定の活動に参加しなくなった」と回答した当事者は41%でした。
その他、当事者のライフステージにおけるイベントに対しても、血友病が影響を与えていることが示されています。例えば、血友病を理由に、当事者の4人に1人(22%)が「子どもを持つことを延期した」と回答し、当事者の18%が「子どもを持たないと決めた」と回答しました。
患児の半数以上、血友病を理由に学校でのスポーツ参加を避ける
続いて、小児期における影響について、専門医に聞きました。その結果、血友病を理由に、患児の56%が学校でのスポーツへの参加を避けており、患児の47%が特定の活動に参加できなかったと回答しています。
治療の意思決定、当事者と専門医にコミュニケーションギャップ
最後に、治療に関わる意思決定について、当事者と専門医でコミュニケーションのギャップがあることが明らかになりました。当事者の83%は、もっと積極的に治療に関わりたいと希望していることが判明。一方で、専門医と治療方針について積極的な話し合いができていると感じている当事者は35%にとどまりました。
血友病治療・ケアの最適化へ、対話の推進につなげる
今回の調査により、血友病に関わる方々のニーズが明らかになりました。「今回の調査結果を活用し、血友病の治療やケアの最適化につながる対話の推進につなげていくことを目標としている」と、同社は述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)