先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の治療薬「ADZYNMA」を米国FDAが承認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. cTTPで欠乏しているADAMTS13酵素を補充する「ADZYNMA」が米国で承認
  2. 日本では厚生労働省から希少疾病用医薬品指定を受けている
  3. 臨床試験では、血漿療法と比較した血小板減少症の発現頻度が低下

ADAMTS13遺伝子変異により発症し、血液中の血小板に異常を来す

武田薬品工業株式会社は11月9日、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の小児から成人の患者さんに対する予防的、もしくはオンデマンド酵素補充療法の治療薬として「ADZYNMA(遺伝子組換えADAMTS13-krhn)」が米国食品医薬品局(FDA)に承認されたことを発表しました。

cTTPは、ADAMTS13遺伝子の変異により発症する、希少な遺伝性疾患です。遺伝子の変異によってフォン・ヴィレブランド因子切断酵素であるADAMTS13酵素が欠乏し、血液中の血小板の凝集や粘着が制御できなくなります。それによって、全身の微小血管に異常な血小板血栓が生じ、微小血管障害性溶血性貧血、血小板減少症、頭痛、腹痛などのさまざまな症状が引き起こされます。cTTPでは脳卒中と心血管疾患を含む急性・慢性の両方の症状が引き起こされる可能性があり、治療をしない場合、急性TTPの死亡率は90%以上となります。

ADZYNMAは、欠乏したADAMTS13酵素を補充する遺伝子組換えヒトADAMTS13製剤です。これまでにFDAにより後天性、特発性および続発性を含むTTPの治療と予防に対して、希少疾病用医薬品指定、ファスト・トラック指定、希少小児疾患指定を受けており、今回の承認に対して希少小児疾患優先審査権が付与されました。また、ADZYNMAは欧州医薬品局(EMA)と日本の厚生労働省より希少疾病用医薬品指定も受けています。

血小板減少症の発現率、薬物動態学的評価で血漿療法より優れる

今回のFDAによるADZYNMA承認は、cTTP患者さんを対象に行われた第3相の臨床試験に基づいています。この試験では、登録時の治療法に基づき、1~6か月目、隔週または毎週40 IU/kgのADZYNMA IV投与もしくは血漿療法が実施されました。7〜12か月目は代替治療に移行し、13〜18か月目は全員ADZYNMAが投与されました。

ADZYNMAの予防的治療中に37人の患者さんでは急性TTPの発現はありませんでしたが、血漿療法を受けた38人の患者さんで1件の急性TTP事象が認められました。

TTPの重要な疾患活動性バイオマーカーである血小板減少症の年平均換算発現率は、血漿療法群では4.44だった(38人中19人の患者さんに発現)のに対し、ADZYNMA投与群では2.0でした(37名のうち9名の患者さんに発現)。また、薬物動態学的評価において、ADZYNMA 40IU/kg点滴静注は、血漿療法と比較して、1回の点滴静注でADAMTS13の活性が4〜5倍に上昇しました。

安全性についても、ADZYNMAは血漿療法群と比較して良好で、頻度の高かった副作用は、頭痛、下痢、片頭痛、腹痛、悪心、上気道感染、浮動性めまい、嘔吐でした。(遺伝性疾患プラス編集部)

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