MECP2重複症候群、開発中のRNA編集治療をFDAが希少小児疾患と希少疾病用医薬品に指定

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 乳児期早期からの筋緊張低下、てんかんなど、さまざまな症状が現れるMECP2重複症候群
  2. 今のところ根治療法は無く、症状にあわせた対症療法がおこなわれる
  3. 開発中の治療薬HG204、モデルマウス対象に運動機能の回復・生存期間の延長など確認

患者さんのほとんどが男性、男性の推定出生時有病率は15万人に1人

中国のHuidaGene Therapeutics社は10月31日、MECP2重複症候群の治療薬として開発中の「HG204」について、米国食品医薬品局(FDA)から希少小児疾患指定(RPDD)と希少疾病用医薬品指定(ODD)を受けたと発表しました。

MECP2重複症候群は、MECP2遺伝子が重複する、つまり、余分に存在することで発症する遺伝性疾患です。主な症状は、乳児期早期からの筋緊張低下、発達遅延、知的障害、てんかん、くり返す感染症など。患者さんはほとんどが男性で、男性の出生時有病率は15万人に1人と推定されています。現在、根治療法は確立されておらず、症状にあわせた対症療法がおこなわれます。

モデルマウスで、MeCP2タンパク質減/運動機能が回復/生存期間が有意に延長

HG204(AAV-hfCas13Y-gMECP2)は、MECP2遺伝子から作られるmRNAの発現量を減らすことで、体内で作られるMECP2タンパク質の量を減らす目的の薬です。ゲノム編集でも用いられるCRISPR/Casシステムを応用して同社が独自に開発した、CRISPR/Cas13YというRNA編集技術を用いたもので、このシステムを体内に導入するために、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが用いられています。

MECP2重複症候群のモデルマウスを対象としたHG204の前臨床研究では、MeCP2タンパク質の有意な減少、運動機能の回復、生存期間の有意な延長が示されたとのことです。(遺伝性疾患プラス編集部)

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