ホモ接合体家族性高コレステロール血症治療薬「エヴキーザ」発売

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 重度の高コレステロール血症が生じる遺伝性疾患HoFH
  2. 従来の治療法では効果不十分な場合もあり、新たな治療選択肢が求められていた
  3. エヴキーザは、LDL受容体の有無に関係なくLDL-C値低下が期待される

指定難病HoFH、2022年度特定疾患医療受給者証保持者は398例

Ultragenyx Japan 株式会社は4月17日、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)治療薬「エヴキーザ(R)点滴静注液 345mg」(一般名:エビナクマブ(遺伝子組換え))について、日本で発売したことを発表しました。

HoFHは、生まれつき血中のLDLコレステロール値(以下、LDL-C)が非常に高いまれな遺伝性疾患です。早発性の心血管系疾患が生じたり、未治療だったりする場合には、若年でも亡くなることがあります。家族性高コレステロール血症は、小児慢性特定疾病の対象疾患です。また、HoFHは厚生労働省の指定難病対象疾病であり、2022年度の特定疾患医療受給者証保持者は398例と報告されています。

HoFHの治療では、食事療法、LDLアフェレーシス(血液中のLDL-Cを取り除く治療)や脂質低下薬による治療が行われます。一方、これらの治療法の効果が十分でない患者さんも多く、LDL-C値をコントロールする新たな治療選択肢が求められていました。

エヴキーザ、脂質代謝で重要な役割ANGPTL3に結合・機能阻害

今回発売されたエヴキーザは、脂質代謝で重要な役割を果たすタンパク質アンジオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3)に結合し、その機能を阻害する初めての遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体です。ANGPTL3の阻害作用により、LDL受容体の有無と関係なく、LDL-C値の低下が期待されます。なお、同剤は日本の他、米国、EU、イギリスおよびカナダで承認されています。

投与24週後LDL-Cベースラインからの変化率、プラセボに対して有意に改善

エヴキーザの承認は、日本人を含む12歳以上のHoFH患者さんを対象にした国際共同第3相試験(R1500-CL-1629試験)、5歳以上11歳以下のHoFH患者さんを対象にした臨床試験(R1500-CL-17100試験)等の結果に基づくものです。

R1500-CL-1629試験は、最大耐用量の脂質低下療法を受けているHoFH患者さんを対象とした、無作為化二重盲検並行群間比較試験です。主要評価項目は、投与24週後のLDL-Cのベースラインからの変化率。試験の結果、エヴキーザはプラセボ群に対して統計学的に有意で臨床的に意義のある改善を示しました(投与24週後のLDL-Cのベースラインからの変化率(%):エヴキーザ群-47.1±4.6、プラセボ群1.9±6.5、群間差:-49.0(p<0.0001))。二重盲検投与期間における有害事象の発現割合は、エヴキーザ群で65.9%(29/44例)、プラセボ群で81.0%(17/21例)で、エヴキーザ群の5%以上に報告され、プラセボ群と比較して高い頻度で発現した有害事象は、インフルエンザ様疾患11.4%(5/44例)、鼻漏6.8%(3/44例)でした。(遺伝性疾患プラス編集部)

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