パーキンソン病患者さんの車いす移動、「手動」困難でも「足こぎ」で可能と判明

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 「足こぎ」と「手動」で車いすの駆動を比較
  2. 手動車いすの駆動能力低下の患者さんも、足こぎ車いすではスムーズ・十分な速度で移動
  3. パーキンソン病患者さんのQOL向上へ寄与に期待

指定難病パーキンソン病、早い段階で歩行能力低下

畿央大学の研究グループは12月19日、すくみ足の症状が現れるパーキンソン病患者さんを対象に、足こぎ車いすが従来の手動車いすに比べてスムーズかつ十分な速度で駆動できることを明らかにしたと発表しました。

News250106 02
画像はリリースより

パーキンソン病は、安静時のふるえ(振戦)、手足の筋肉がこわばって動きにくい(筋固縮)、動きが遅く細かい動作がしづらい(動作緩慢)、姿勢を保てずバランスを崩して転びやすい(姿勢保持障害)といった症状を特徴とする病気。厚生労働省の指定難病対象疾病です。パーキンソン病患者さんは、早い段階で歩行能力が低下し、症状の進行に伴いその傾向が顕著になります。その結果、日常生活で車いすが必要となることがあります。しかし、「手動」車いすを使用する際にも、駆動能力が制限される場合が多いことが課題です。一方で、パーキンソン病患者さんは自転車のペダル操作能力が比較的保たれていることが知られています。

そこで今回の研究では、ペダル操作で駆動する「足こぎ」車いすに着目。その有効性を手動車いすと比較しました。

歩行障害「すくみ足」あり患者さん2人対象、10m直進路の駆動能力を検証

今回の研究は、パーキンソン病の代表的な歩行障害「すくみ足」の症状が現れている患者さん2人を対象に実施。10m直進路の駆動能力を、足こぎ車いすと手動車いすを使って比較しました。

1人目の患者さんは、手動車いすの約6倍の速度で足こぎ車いすを駆動できました。2人目の患者さんは強い前屈姿勢があり、手動車いすは途中で停止。一方、足こぎ車いすでは十分な速度で完走可能でした。

今後、より実用的な検証+施設環境などでの有効性も調査へ

今回の研究結果から、手動車いすの駆動能力が著しく低下している患者さんでも、足こぎ車いすではスムーズかつ十分な速度で移動できることが確認されました。今回の研究成果が、生活の質の向上へ寄与することが期待されます。研究グループは今後、方向転換や狭いスペースでの操作性など、より実用的な検証を進め、施設環境などでの有効性も調査することを検討しています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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