小児の軟骨無形成症、開発中の低用量・週1回皮下注射薬で身長伸展速度増加を確認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 5〜14歳の軟骨無形成症に対し、umedaptanib pegolを評価する臨床試験で有効性を確認
  2. umedaptanib pegolは軟骨無形成症の発症機序に直接作用する核酸医薬
  3. 利便性のある週1回の皮下注射薬で、既存薬に相当する身長の伸展速度を確認

軟骨の正常な発育が阻害され、低身長が引き起こされる

株式会社リボミックは、軟骨無形成症の小児患者さん(5〜14歳)を対象に、同社が開発中の「umedaptanib pegol(RBM-007)」(抗FGF2アプタマー)の有効性と安全性を調べる前期第2相臨床試験において、低用量の週1回の皮下投与群で顕著な効果が確認されたと報告しました。

軟骨無形成症は、線維芽細胞増殖因子(FGF)に対する3型受容体(FGFR3)の遺伝子変異により、軟骨などの正常な発育が阻害され、手足の短縮を伴う低身長などが引き起こされる遺伝性疾患です。この病気は、新生児約2万5,000人に対し1人に発症する希少疾患で、指定難病対象疾病となっており、有効な新薬開発が求められています。

umedaptanib pegolは、FGFR3のリガンドとなる線維芽細胞増殖因子2(FGF2)の機能を強力に阻害する、アプタマーと呼ばれる種類の核酸医薬で、軟骨無形成症の発症機序に直接作用し、根本的な治療法になることが期待されています。核酸医薬のアプタマーは、標的とするタンパク質などに対して抗体のように特異的に結合することのできる人工的に合成された核酸です。また、umedaptanib pegolは、滲出型加齢黄斑変性に対しても臨床試験で有効性が確認されています。

長期投与・高用量投与の試験も実施中、安全性に関する懸念は発生していない

今回発表された前期第2相臨床試験のコホート1では、軟骨無形成症の小児患者さん(5〜14歳)を対象に低用量(0.3mg/kg)の皮下投与(1回/週)が行われました。試験を完了した5人の小児患者さんのうち、umedaptanib pegolの注射前と比較して、3人に身長の伸展速度の増加が確認され、そのうち2人で顕著な速度増加が見られました。低用量にも関わらず、5人の身長平均伸展速度(+1.5cm/年)は、現在、軟骨無形成症治療薬として承認されているボックスゾゴ(R)の身長平均伸展速度(+1.7cm/年)に相当する結果であることがわかりました。

この結果は、毎日の皮下投与が必要なボックスゾゴに比べて、週1回の皮下投与を行うumedaptanib pegolの優位性(利便性)を示すものと考える、と同社は伝えています。

同試験は継続中で、コホート1を完了した人が参加する長期投与試験、高用量(0.6mg/kg)で(1回/2週)皮下投与を行うコホート2試験も行われています。また、これまでに実施されたumedaptanib pegolの試験において、安全性に関する懸念は発生していません。(遺伝性疾患プラス編集部)

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