特徴的な顔立ち、視覚や空間の認知障害、軽度から中等度の知的障害や学習の問題、心血管の異常など、さまざまな症状が現れる「ウィリアムズ症候群」をご存知でしょうか?7番染色体の特定の領域で、25~27の遺伝子がまとまって失われることによって引き起こされる遺伝性疾患です。
今回ご紹介するのは、ウィリアムズ症候群のお子さんとご家族向けに支援を行う患者会「エルフィン関西」です。ご家族の交流の場を設けたり、豊かな音楽性を持つとされるウィリアムズ症候群の当事者向けにピアノやハンドベルを用いた「音楽活動」を行ったりするなど、さまざまな支援活動を行っています。
今回お話をうかがった佐藤義孝さんも、ウィリアムズ症候群の当事者ご家族の一人です。今回は、佐藤さんにご自身の経験や、エルフィン関西の活動についてお話をうかがいました。
団体名 | エルフィン関西 |
対象疾患 | ウィリアムズ症候群 |
対象地域 | 関西 |
会員数 | 約80名(2022年10月現在) |
設立年 | 1997年 |
連絡先 | 「メール」elfinkansai.mail@gmail.com |
サイトURL | https://sites.google.com/site/elfinkansai/ |
SNS | なし |
主な活動内容 | ウィリアムズ症候群のお子さんとご家族のコミュニティ。ウィリアムズ症候群に関わる情報発信や、当事者・ご家族の交流といったさまざまな支援活動を行う。 |
お子さんがウィリアムズ症候群と診断、活動に関わるように
活動を始めたきっかけについて、教えてください。
元々「日本ウイリアムズ症候群の会」という患者会があり、滋賀県や京都府にお住まいの患者さん・ご家族を中心に、全国で活動されていました。その後、会が再編され、主に地域ごとに4つの会に分かれてそれぞれ活動することになったんです。その一つが、エルフィン関西です。
佐藤さんがエルフィン関西の活動に関わるようになったきっかけについて、教えてください。
1995年に3人目の子どもである娘が産まれ、ウィリアムズ症候群と診断を受けたことがきっかけです。小児科の主治医から「ウイリアムズ症候群の親の会(※日本ウイリアムズ症候群の会の前身の組織)」を教えていただき、活動に関わるようになりました。
当時は、今のようにインターネットで気軽に検索できるような状況ではなかったので、ウィリアムズ症候群について得られる情報量が限られていました。また、当時は小児科医の中でもウィリアムズ症候群について詳しい医師は少なかった印象でした。特に地方でその傾向が顕著だったと聞いています。幸いにも、娘の主治医はウィリアムズ症候群に詳しく、この病気について研究されている先生でした。先生には長年、エルフィン関西の顧問としてもお世話になっています。
その後、エルフィン関西の初代代表から代表を引き継ぎました。会の活動と家族の時間、そして日々の仕事を両立させることは簡単なことではありませんが、活動を続けています。
「勉強会」「レクレーション」「音楽活動」など、多彩な支援活動
活動内容を簡単に教えてください。
専門医の先生方や研究者の方々に、ウィリアムズ症候群に関わる最新情報を提供していただいたり、ガイドラインについて学んだりする「勉強会」を開催してきました。その他にも、パン食い競争、お菓子釣りゲームといった、お子さん向けの遊びを行う「レクレーション」、ピアノやハンドベルを用いた「音楽活動」、親御さん同士で楽しく交流する「お父ちゃん・お母ちゃん会」など、活動は多岐にわたります。ただ、最近ではコロナ禍の影響があり、対面での活動は行っていません。会員の皆さんとは、LINEを中心にコミュニケーションを取りあっています。
今後も、医療関係者に留まらず、教育関係者、セラピスト、音楽関係者などさまざまな方々のお力を借りながら、多彩な活動を目指していきます。
ウィリアムズ症候群のご家族からは、活動を通じてどのような相談が寄せられていますか?
入会希望者からのお電話など、多くのご家族のお話をうかがってきた中で感じているのは、突然の告知により不安を抱えているご家族が多いということです。診断を受ける当事者の年齢は、幼児~小学生低学年くらいが多い印象です。ご家族は、お子さんの発達の問題や音に敏感なことなど、ウィリアムズ症候群で見られるさまざまな症状について悩まれています。そういったお悩みと向き合われているご家族には、ぜひ、エルフィン関西の活動を知っていただけたらと思います。私たちも、皆さんと有意義な情報交換できる場を目指して、これからも活動を続けていきます。
全国に多くの仲間がいることを知ってほしい
最後に、遺伝性疾患プラスの読者にメッセージをお願いいたします。
地方にお住まいのウィリアムズ症候群のご家族には、全国に多くの仲間がいることを知っていただきたいです。ウィリアムズ症候群は希少疾患なので、なかなか同じ病気のお子さんやご家族と関わる機会は多くないかもしれません。もし、心配なことや不安なことがある場合には、エルフィン関西といったウィリアムズ症候群の患者会に参加されることも選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
同じウィリアムズ症候群でも、症状の現れ方などはお子さん一人ひとり異なります。それは、ウィリアムズ症候群だけでなく、全ての遺伝性疾患に言えることかもしれません。そういった思いで、これからも一人ひとりの当事者やご家族と関わっていけたらと思います。
エルフィン関西では、「音楽活動」や「お父ちゃん・お母ちゃん会」といった当事者・ご家族の支援活動だけでなく、ウィリアムズ症候群の最新情報を得るための「勉強会」の開催など、さまざまな活動が展開されています。コロナ禍の影響で対面での活動は制限されているそうですが、LINEでの会員さん同士のコミュニケーションなどを通じて活動を続けられています。
ウィリアムズ症候群の当事者・ご家族とつながる場として、ぜひエルフィン関西を知っていただけたらと思います。(遺伝性疾患プラス編集部)