「遺伝性疾患・難病患者さんに関わる「医療費」「公的支援」」Topに戻る
医療費や公的な支援に関するアンケートを2023年11月に実施し、遺伝性疾患・難病の当事者を中心に122人から回答いただきました。率直に、丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。集計の結果をまとめた【概要編】とフリーコメントを集約した【コメント編】の2つの記事分けて、結果を発表します。
回答者は、当事者本人とご家族が半々、年代で多かったのは40代(36.1%)、50代(27.9%)でした。就労している人が約6割、関東地方にお住まいの方が約4割でした。関わりのある疾患(人数)は多い順に、神経線維腫症(10)、ミトコンドリア病(8)、筋ジストロフィー(7)、脊髄小脳変性症(6)、ハンチントン病(5)、エーラス・ダンロス症候群(4)、マルファン症候群(4)、遺伝性血管性浮腫(4)、網膜色素変性症(4)でした。詳細はページ下部に記載しますのでご覧ください。
「医療費に関わる手続き、制度、支援の内容などについて、理解するのが難しいと感じた言葉があれば教えてください」「医療費や支援について、疑問やご意見などがあれば教えてください」という2つの設問に対して、大変多くの方からコメントをいただきました。内容ごとにまとめて、ご意見の一部をご紹介します。(意味が変わらない範囲で、編集部で再編集させていただいたコメントもあります)
理解するのが難しいと感じた言葉について
- 軽症者特例(複数名)
- 償還払
- 差額ベッド代(術後個室管理を希望したが、自己負担でとても高額だった)
- 障害福祉サービス利用手続き
- 高額療養費の申請手続き
- 障害年金
- 高額かつ長期
- 病院の相談室に行った際、「原疾患」や「主症状」、「合併」など何気なく使われている言葉が多く、戸惑う人もいるだろうと思う
窓口の対応、行政について
- こども医療助成は市町村、小児慢性は都道府県、といったように助成ごとに窓口が変わり、説明を聞いても自分にどれが当てはまるのか、どの助成を使えば良いのか理解するのに時間がかかった。実際、わざわざ小児慢性を取得したが、全額こども医療の助成がおりるので、毎年の更新にかかる診断書代や自己負担分の還付手続きなど無駄だった
- 障害者手帳の窓口、指定難病の窓口、子ども医療費助成の窓口が別々でそれぞれでやりづらい
- 『そうなんですよー』とこちらが調べて聞いた事に対してでしか情報を頂けないケースが多々ありました
- 区役所の人は皆、説明が親切丁寧ですが説明が多すぎて疲れて頭に入らなくなります。
- 詳しい内容や手続きの仕方を聞きたくても区役所の人が全てを把握していない。部署が細かく分かれており、電話で問い合わせると、あっちにかけてと言われ、あっちにかけるとまたあっちにかけてと言われ、またあっちにかけると最初にかけたところにかけ直せと言われ、結局どこで問い合わせや手続きをしたら良いのかが分からないということが多々ある。役所の人は自分たちの部署で取り扱う内容しか把握していない。福祉、子育て支援、健康保険、保健所、また各自治体の制度なのか、国がやっているのか等々非常に分かりづらいと感じます
- 同じ課(障害福祉課など)なのに、申請のたびに診断書を求められるのが、なぜなのかと疑問です。その課に一度提出してあれば、コピーなどで対応してほしい
指定難病の対象について
- 希少疾患なので、支援の対象外と言われる
- 医療費や支援は病気によって差があってはいけないと思う。指定難病だけが病気ではない
- 難病指定してほしい。遺伝子疾患患者の家族の遺伝外来や遺伝子検査を保険適用にしてほしい
- 難病指定されていないので治療費がかかり、また遺伝性疾患だと特に子どもがいると子どものプライバシーにも関わるため周囲の人達に相談しにくいです
- 遺伝性疾患でも 確定遺伝子がまだ見つかっていないのに難病の医療費助成の審査の条件に「病気の元となる遺伝子が見つかっている事」と入れられている事。この1つの条件があるために 医療費助成が認められない。確定遺伝子が見つかっていないのに 意味がわからない
「年に1度の更新」など、手続きについて
- 特定医療費(指定難病)受給者証の更新が一年ごとの制度を変えてもらえたら助かるのですが
- 手続きがバラバラだし、申請してすぐ、年度更新時期とか一括してもらえないものか?と思います
- 遺伝性疾患は治ることがないのに、毎年更新をしなければならない理由か分からない
- 特定医療費(指定難病)の更新が毎年あることが時間や金銭的にも厳しいと感じることがあります。毎年ではなくてもよいのではないでしょうか。私はまだ自分で行動できますがそうでない方は誰かに頼らなければ手続きができません。私も歩けなくなる可能性があるので更新は何年かごとでよいのではないかと常に考えております
支援の内容がさまざまなこと、診断書の発行料について
- 病院によって使える医療助成が違うこと
- 同じ病院でも、通院と入院でそれぞれ別に支払い上限額が設定されていること。同じ月で、通院上限額を支払った後入院になり、医療費が膨大になったことがあります
- 同じ疾患に対する治療費でも病院と薬局で別々に支払い回数、支払い上限額が設定されていること。薬局で同じ疾患の薬を3回以上処方されていて上限額が安くなっているのに、薬を変えるための投薬指導で病院で処方されると、1回目の高い上限額を支払わなければなりませんでした
- 同じ支援内容でも自治体によって基準が違い不公平に感じる
- 同じ疾病でも、自治体での補助や援助が違うため、戸惑う
- オムツの助成が市町村によって負担額が違う
- 田舎からの通院で、ガソリン代やら付き添いに疲れたり、すぐ入院になることも多いので、付き添い入院がすごく大変。親のサポートが充実してほしい
「マイナンバー活用」など、こんな風になってほしい
- 毎回と面倒に思う契約に関しまして、幼少期からの事柄を何度も何度も同様な事柄を記載しなければいけない、マイナンバーがあるのならそこから幼少期の事柄がわかるようにしてほしい、さまざまな更新や契約に関し何度も何度も同じ事柄を記載しないで済むようになってほしいと思います
- マイナンバー保険証を使用することにより、支援につなげてほしい。一定額以上いったら通知が届くとか
- 誰も教えてくれないし、窓口がバラバラ、かつ紙に書いて提出しなくてはいけないものが多く煩雑。早くオンライン申請できるようにして欲しい
- 複数の難病をもっているが、重症度に該当せず、支援を受けられなくて自費になっている。複数疾病の場合の制度もあってもいいのでは?と思う
- ニーズを聞いた上で、「〜〜という名前の制度が使えると思う。こういう場合に使えて、そのニーズの場合はこういう風に活用できる」と説明してもらえると理解しやすいように感じる
- 支援はできるだけ欲しいためどうしてもまとまりなく質問してしまう。相談者に伝わるか自信がない。質問を受け入れてくれてありがたいが、時間割いて聞きに行って答えが調べてわかるものだったときにお互いに辛い。AIのチャットで質問を整理できて、相談した側が気づかなかった案件に結びつく支援が欲しいです
- 病気の当事者になると、病気の事で頭が一杯になり、支援制度や利用出来る福祉の事まで気が回らないので、患者が相談に行くのではなく、知識のある方が患者に接触していく様な風土になれば良いなと思います
- どの窓口で相談しても同じ内容が聞ける様な体制を希望します
- 遺伝子疾患患者専用の医療費や支援について病院で案内があれば良いと思う
- 各種手続きの申請に必要な診断書の発行料が高いので補助が欲しい。もしくは、無料にしてほしい
回答者の年代、居住地、疾患等について
- 回答数:122
- アンケート実施期間:2023年11月1日~10日
- 実施方法:インターネット調査
- 回答者の立場:当事者50.8%、当事者の家族48.4%(子どもが当事者:36.9%、配偶者・パートナーが当事者:5.7%、親・兄弟姉妹が当事者:3.3%、その他:2.5%)、不明:0.8% ※その他:子どもと親が当事者、配偶者と子どもが当事者、親の兄弟が当事者
- 年代:20代4.9%、30代15.6%、40代36.1%、50代27.9%、60代13.9%、70代1.6%
- 就労状況:就労している58.2%、就労していない41.8%
- 居住地域:北海道・東北10.7%、関東39.3%、中部18.9%、近畿18.9%、中国・四国7.4%、九州4.9%(36都道府県、都道府県別では東京が最多で20人)
- 主な受診状況:主に通院:91.8%、主に入院:1.6%、主に往診(在宅医療):0.8%、その他:3.3%、未受診:1.6%
- 関わりのある疾患: 神経線維腫症(10)、ミトコンドリア病(8)、筋ジストロフィー(7)、脊髄小脳変性症(6)、ハンチントン病(5)、エーラス・ダンロス症候群(4)、マルファン症候群(4)、遺伝性血管性浮腫(4)、網膜色素変性症(4)、シャルコー・マリー・トゥース病(3)、ライソゾーム病(3)家族性大腸腺腫症(3)、家族性地中海熱(3)、MECP2重複症候群(2)、アルポート症候群(2)、オスラー病(2)、リンチ症候群(2)、レット症候群(2)、拡張型心筋症(2)、球脊髄性筋萎縮症(2)、脊髄性筋萎縮症(2)、多発性内分泌腫瘍症(2)、PURA症候群(2)、副腎白質ジストロフィー、膿疱性乾癬(疱疹状膿痂疹)・乾癬性関節炎、低ホスファターゼ症、多発性嚢胞腎、多発性骨端異形成症、先天性副腎過形成、先天性縮毛症、先天性下垂体機能低下症、骨形成不全症、血友病、筋萎縮性側索硬化症、家族性痙性対麻痺、遺伝性乳がん卵巣がん、ダノン病(自己貪食空胞性ミオパチー)、シュワッハマン・ダイアモンド症候群、コケイン症候群、カウデン症候群、ウィルソン病、アンジェルマン症候群、アラジール症候群、Ohdo症候群、Lamb-Shaffer症候群、HNRNPH2遺伝子関連疾患(バイン症候群)、FOXG1症候群、FLNA異常症、22q11.2欠失症候群、21トリソミー、その他疾患(11)