神経線維腫症I型の叢状神経線維腫に対する経口治療薬が発売

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 神経線維腫症I型の叢状神経線維腫に対する経口治療薬「コセルゴカプセル 10mg/25mg」が販売開始
  2. 患者さんの30~50%にみられる叢状神経線維腫は、外観上の変形、痛み、運動機能障害などの重い病的状態に関わる
  3. 根本的な治療薬が無かった症状に対する新たな希望となりうる

神経線維腫症I型における叢状神経線維腫を対象とした、国内初の経口治療薬

アレクシオンファーマ合同会社は11月16日、神経線維腫症I型(neurofibromatosis type1;NF1)における叢状神経線維腫(そうじょうしんけいせんいしゅ)を対象とした国内初の経口治療薬として、「コセルゴカプセル 10mg」と「コセルゴカプセル 25mg」(一般名:セルメチニブ硫酸塩、以下セルメチニブ)の販売を開始したことを発表しました。

NF1は、世界で出生約3,000人に1人の頻度で見られる遺伝性疾患であり、皮膚表面の神経線維腫と呼ばれる腫瘍や、カフェ・オ・レ斑と呼ばれる皮膚への色素沈着などに加え、叢状神経線維腫と呼ばれる神経鞘(神経を覆う膜)にできる腫瘍が、患者さんの30~50%にみられます。叢状神経線維腫は、外観上の変形や痛みの問題だけでなく、運動機能障害、気道の障害、視力障害、膀胱や腸の機能障害などを引き起こすことがあります。

セルメチニブは、3歳以上18歳以下のNF1患者さんの、痛みや外観上の変形等の症状を持ち、かつ重大な合併症のリスクを伴うことなく切除することができない叢状神経線維腫に対する治療薬として、国内で初めて承認された治療薬です。NF1の症状は、細胞増殖に関与する酵素が過剰に活性化され、腫瘍細胞の増殖が制御不能になることで起こるため、セルメチニブは細胞増殖に関与する酵素である分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1およびMEK2)を阻害することで、腫瘍細胞の増殖を抑制します。

服用した3歳から18歳の患者さんに対して腫瘍縮小効果を認める

セルメチニブは、米国国立がん研究所(NCI)が中心になり行った臨床試験「SPRINT試験」において、服用した3歳から18歳のNF1患者さんに対して手術不能な叢状神経線維腫の縮小効果を示し、また、日本の手術不能な叢状神経線維腫を持つ3歳から18歳のNF1患者さんを対象とした臨床試験でも腫瘍の縮小が認められました。

セルメチニブは、日本に加え、米国やEU諸国でも承認されており、その他の国および地域においても承認申請が進んでいます。

アレクシオンファーマ合同会社の笠茂公弘社長は、「神経線維腫症I型における叢状神経線維腫は今まで根本的な治療薬が無く、主な治療選択肢が手術に限られていました。そのため、痛みを伴う身体的な苦痛、外見の変形等の問題に起因する精神的な苦痛に加え、病態の進行や予後への不安を抱えながら生活する患者さんとご家族も少なくありません。国内初の治療薬コセルゴを、新たな希望として患者さんとご家族に届けられることは大変喜ばしく、我々にとって大きな励みとなります」と、述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

関連リンク