脊髄性筋萎縮症II・III型、エブリスディ治療の4年時点データで有効性・安全性を確認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. SMA治療薬エブリスディの新たな長期データが発表された
  2. 運動機能の改善が4年目まで維持されていることを確認
  3. 自立した日常生活動作について、継続的な改善または維持の報告も

日本では2021年6月に承認のSMA治療薬

中外製薬株式会社は、同社と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社による、リスジプラム(製品名:エブリスディ(R)ドライシロップ60mg)の脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する新たな長期データを発表しました。今回発表されたのは、「SUNFISH試験」における新たなデータです。

SMAは、脊髄の運動神経細胞の変性により筋萎縮や筋力低下を示す、遺伝性の神経筋疾患です。SMAの有病率は10万人あたり1〜2人とされています。原因遺伝子は、SMNタンパク質の設計図となる2つの遺伝子。SMN1遺伝子が正常に働かないことと、SMN2遺伝子のみでは正常なSMNタンパク質を十分な量産生できないことでSMAを発症します。

エブリスディは、正常なSMNタンパク質レベルを増加させ、維持することでSMAを治療するよう設計された治療薬です。日本では2021年6月に承認を取得しています。

運動機能の改善、4年目まで維持

SUNFISH試験は、II型とIII型の小児SMA患者さん・若年成人患者さん(2~25歳)を対象とした治験です。今回発表された新たなデータにより、エブリスディの長期的な有効性と安全性が示されました。具体的には、運動機能の改善が4年目まで維持されました。治療を受けていない場合、II型またはIII型SMA患者さんでは、時間経過に沿った運動機能の低下が現れます。また、有害事象の発現は48か月(4年)を通じ、時間が経つにつれて減少したそうです。その他、食事や物を持ち上げる・動かすといった自立した日常生活動作について、治験参加者より「継続的な改善」または「維持」が報告されました。

なお、エブリスディの4年間に渡る忍容性は良好でした。有害事象・重篤な有害事象は、基礎疾患を反映したものでした。高頻度に報告された有害事象は、頭痛、発熱、上気道感染。治験中止に至った治験薬と関連のある有害事象は、認められなかったとしています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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