デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬ビルテプソ、長期試験で有効性と安全性を確認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. ビルテプソ投与開始4年後の解析データを発表
  2. 「床からの立ち上がり時間」などで、運動機能への長期的な効果を確認
  3. 主な有害事象は、軽~中等度の鼻咽頭炎・発疹・発熱・嘔吐など

日本では2020年5月から販売中の核酸医薬品

日本新薬株式会社は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下、DMD)治療薬「ビルテプソ」(一般名:ビルトラルセン)について、第2相非盲検継続投与試験の長期有効性と安全性データ(投与開始4年後の最終解析結果)を発表しました。

DMDは、筋ジストロフィーの1病型で、ジストロフィン遺伝子の変異によりジストロフィンタンパク質が失われることが原因で、骨格筋、心筋、肺の筋力が低下する遺伝性疾患です。

核酸医薬品ビルテプソは、エクソンスキップ治療という治療法において用いられます。DMDには、さまざまな遺伝子変異型があります。ビルテプソは、その中でもエクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失が確認されているDMDの治療薬です。日本では、2020年5月から販売されています。米国では、2020年8月に米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認を取得し、NS Pharma, Inc.を通じて販売されています。 

運動機能評価、対照群との比較で有効性を確認

今回発表されたのは、北米で実施された第2相試験の継続投与試験のデータです。この継続投与試験に登録されたのは、24週間の第2相試験を完了した、4~10歳未満のDMD患者さん(エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失が確認されている)16例です。継続投与試験では、長期間の運動機能と安全性が評価されました。

運動機能評価の指標は、床からの立ち上がり時間、10m歩行/走行時間、4段階段昇り時間などを設定。対照群として、患者さんの背景を一致させた自然歴(医学的な措置を受けない状態で推移する病気の経過のこと)データと比較しました。なお、ビルテプソ投与群・対照群ともに、グルココルチコイドの投与が継続されていました。

投与開始から205週後の有効性については、床からの立ち上がり時間のベースラインからの平均変化量がビルテプソ群では2.7秒、対照群では8.3秒でした。同試験で報告された主な有害事象は、鼻咽頭炎、発疹、発熱、嘔吐などで、いずれも軽度から中等度でした。安全性プロファイルは、これまでの短期間の臨床試験で認められたものと同様で、治療に関連する重篤な有害事象や治療中止に至った患者さんはいなかったそうです。(遺伝性疾患プラス編集部)

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