脆弱X症候群、治療薬候補「zatolmilast」がFDAより希少小児疾患指定

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 発達遅延や知的障害などの症状が見られる脆弱X症候群の治療薬候補「zatolmilast」がFDAから希少小児疾患指定を受けた
  2. zatolmilastは、記憶形成に関わるシグナル伝達を制御するように設計されている
  3. これまでの臨床試験で、言語や日常機能の改善・安全性が確認されている

知的障害などの症状が見られ男性に影響が大きい病気

塩野義製薬株式会社は、同社のグループ会社であるTetra社と共同で開発している、脆弱X症候群の治療薬候補「zatolmilast」について、米国食品医薬品局(FDA)より「希少小児疾患指定」を受けたと報告しました。

脆弱X症候群は、X染色体上にあるFMR1遺伝子の変異によって、発達遅延や知的障害などの症状が見られる遺伝性疾患です。この病気は、自閉症の主な原因とされ、攻撃性、注意力の欠如、不安などの症状から、日常生活に支障を来たす場合もあります。また、この病気は男性患者さんにより大きな影響を及ぼすことも知られています。

zatolmilastは、神経細胞で記憶形成に関わるPDE4Dと呼ばれる酵素を標的とし、関連するシグナル伝達経路を制御することで、語彙力、読解力の向上、記憶形成の強化などの認知機能を向上させると考えられています。またzatolmilastは、2018年にFDAからオーファンドラッグ(希少疾患治療薬)に指定されています。

言語機能などの改善効果や安全性を確認

zatolmilastは、これまでの脆弱X症候群の患者さんを対象にした臨床試験において、言語および日常機能の改善効果、良好な安全性と忍容性が確認されています。

現在、9~17歳と18~45歳の脆弱X症候群の男性患者さんを対象とした2つの第2b/3相臨床試験、これらの試験参加者を対象とした継続投与の第3相臨床試験が実施されています。

今回のFDAから受けた希少小児疾患指定は、米国で18歳までに発症し、患者数が20万人未満の希少疾患において、その新薬の開発を促進するための制度で、この指定を受けた開発中の医薬品は、優先審査などの優遇を受けることができます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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