デュシェンヌ型筋ジストロフィーの遺伝子治療薬「ELEVIDYS」、米国で4歳以上に適応拡大

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. DMDの遺伝子治療薬ELEVIDYS、条件を満たす4~5歳の患者さんのみで迅速承認されていた
  2. 今回FDAは、歩行可能な4歳以上を通常承認、歩行困難な4歳以上を迅速承認した
  3. 同剤は、エクソン8/9欠失の患者さんには禁忌

筋肉内に「マイクロジストロフィン」遺伝子を導入する遺伝子治療

米サレプタ・セラピューティクス社は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する遺伝子治療薬「ELEVIDYS」(一般名:delandistrogene moxeparvovec-rokl)について、DMD遺伝子に変異が確認された「4歳以上」のDMD患者さんへの適応拡大を、米国食品医薬品局(FDA)が承認したと発表しました。

DMDは、ジストロフィン遺伝子の変異が原因となり正常なジストロフィンタンパク質が作られず、進行性に筋肉が変性していく遺伝性疾患です。

ELEVIDYS(一般名:delandistrogene moxeparvovec-rokl)は、AAV(アデノ随伴ウイルス)ベースの遺伝子治療薬で、治療は1回の点滴投与で行われます。この薬が点滴で体内に入ると、筋肉内に「マイクロジストロフィン」と呼ばれる短縮型のジストロフィンをコードする遺伝子が導入され、発現したマイクロジストロフィンの機能により、ジストロフィンの欠乏に対処できるようになります。

同剤は2023年6月に、同条件の「4~5歳」の小児DMD患者さんのみを対象に、迅速承認されていました(関連ニュースはコチラ)。今回の追加承認は、歩行可能な4歳以上に対する通常承認、および、歩行困難な4歳以上に対する迅速承認となります。歩行困難な患者さんに対して継続承認については、今後の試験による臨床的な有益性の検証が条件となる可能性があります。

同社は、継続承認に向け、歩行困難なDMD患者さんにおけるELEVIDYSの臨床的な有益性を検証・確認するためのランダム化比較試験を実施し、その結果を提出すること表明しています。現在、歩行困難なDMD患者さんと歩行可能な高齢のDMD患者さんを対象としたELEVIDYSのグローバル無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験「ENVISION試験(SRP-9001-303)」が進行中で、これにより市販後要件が満たされる予定とのことです。

なお、ELEVIDYSは、DMD遺伝子のエクソン8および/またはエクソン9に欠失がある患者さんには禁忌です(詳細はコチラ)。(遺伝性疾患プラス編集部)

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