血友病A治療薬オルツビーオ、12歳未満患者さんで高い凝固因子活性を維持-仏サノフィ

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 日本でも販売中、凝固因子活性を高く長く維持する週1回投与の薬
  2. 12歳未満の血友病A患者さん対象、オルツビーオ海外P3試験の結果が発表された
  3. 高い凝固因子活性の維持や、有効性・安全性が確認された

血液凝固因子のうち第VIII因子が不足の「血友病A」、非常に血が止まりにくい

仏サノフィ社は7月17日、オルツビーオ(R)(一般名:エフアネソクトコグ アルファ(遺伝子組換え))について、12歳未満の血友病A患者さんへの週1回投与を行う海外の第3相臨床試験「XTEND-Kids」の結果を発表しました。

血友病は、血液凝固因子の活性が全くない、もしくは十分な活性が得られないために非常に血が止まりにくくなる遺伝性疾患です。不足する血液凝固因子が第VIII(8)因子の場合は「血友病A」、第IX(9)因子の場合は「血友病B」と言います。なお、どちらとも小児慢性特定疾病の対象疾患です。

第VIII因子活性、3日間はほぼ正常範囲の40 IU以上・7日間は10 IU以上の活性

オルツビーオは、新しいクラスの高活性維持型血液凝固第VIII因子製剤。血友病Aの成人および小児患者さんが週1回の定期補充療法、出血時投与や周術期管理に用いる医薬品として承認されています。現在は、米国、台湾、日本で承認・販売されています。成人・青年患者さんにおける同剤の半減期は、従来の半減期標準型製剤や半減期延長型製剤と比べて3~4倍長く、凝固因子活性を正常~ほぼ正常範囲に高く長く維持することができるとされています。そのため、週1回の投与が可能です。

XTEND-Kids試験に参加した患者さん74人は、オルツビーオの週1回投与による定期補充療法を52週間受けました。今回発表された同試験の結果、12歳未満の血友病A患者さんへの週1回投与で高い凝固因子活性の維持が確認されました。具体的には、3日間は正常範囲からほぼ正常範囲(40 IU以上)の第VIII因子活性を示し、投与後ほぼ7日間は10 IU以上の活性を示しました。

オルツビーオを投与して、第VIII因子インヒビターが発現した患者さんはいませんでした。また、オルツビーオの投与により、試験計画に従って治療を受けた患者さん73人の年間出血率(ABR)の中央値は0.00(四分位範囲[IQR]:0.00-1.02)、ABRの推定平均値(95%CI)は0.61(0.42–0.90)でした。

なお、小児患者さんにおける同剤の忍容性は良好で、有害事象により投与中止に至った患者さんはいませんでした。

オルツビーオ毎週投与の小児患者さん82%で関節内出血の発生回数0回

小児患者さんでは、凝固因子濃縮製剤の血液からの消失速度が成人より高いことが知られています。そのため、半減期標準型や半減期延長型の製剤では、多くの場合、週に2~4回の投与が必要となります。

関節を健康に保つためには、あらゆる関節内出血を抑制することが大切です。オルツビーオの毎週投与を受けた小児患者さんの82%では関節内出血の発生回数が0回でした。同社は今回の試験結果を受け、「オルツビーオの週1回の定期補充療法で関節の健康状態が長期間にわたり守られる可能性を示した」と、述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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