縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー、「アセノイラミン酸」長期使用の安全性・有効性確認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー治療薬「アセノベル徐放錠」が製造販売承認を取得
  2. 48週の試験終了後19人の患者さんに対し72週間アセノベル徐放錠を継続投与
  3. アセノベル徐放錠の長期使用の安全性が担保された

医師主導治験などの結果をもとに製造販売承認を取得

東北大学を中心とした研究グループは、遠位型ミオパチーの一種である、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの治療薬「アセノベル(R)徐放錠500mg(一般名:アセノイラミン酸)」について長期投与の安全性と有効性を確認したと報告しました。

遠位型ミオパチーは、足首や指先を動かすような体幹から離れた部分の筋肉から萎縮・変性し、次第に体の自由が奪われる遺伝性疾患です。縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーは、シアル酸という糖の一種を身体の中で合成するのに必要な酵素の設計図であるGNE遺伝子が原因となり、国内の患者数は推定400人程度で、多くが10代後半から30代に発症します。

アセノベル徐放錠はシアル酸の一種で、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーで不足するシアル酸を補う経口投与可能な薬剤として開発されました。研究グループは、2010年よりアセノベル徐放錠の第1相医師主導治験を実施しその安全性を確認、続く第2/3相試験と有効性確認試験において、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーにおける効果を明らかにしました。同試験において、アセノベル徐放錠を投与したグループでは、上肢筋力の低下が長期間にわたり軽減されました。

これらの結果をもとに、ノーベルファーマ株式会社が薬事承認申請を行い、2024年3月26日にアセノベル徐放錠の製造販売が承認されました。

試験後、72週間にわたって継続投与

今回の研究では、48週の第2/3相試験を終えた19人の患者さんに対し、72週間にわたってアセノベル徐放錠を継続投与してその安全性と有効性が確認されました。その結果、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者さんへの長期投与の安全性が担保されました。

研究グループは、今後、製造販売後調査によりリアルワールドでの効果を検証していくことが大事なため、長期投与での安全性が担保されていることは重要な知見である、と述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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