脊髄性筋萎縮症(SMA)、高用量スピンラザ治療の有効性と安全性データを発表

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. スピンラザを高用量で投与するSMA治療レジメンの有効性・安全性を評価
  2. 高用量レジメンは承認済み12mgレジメンと同様の安全性プロファイル
  3. 乳児型・乳児型以外やスピンラザ未・既治療に関わらず運動機能評価を改善

SMAに対するスピンラザ、高用量投与レジメンの有効性・安全性を評価

米バイオジェン社は、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対するスピンラザ(R)(一般名:ヌシネルセン)を高用量で投与する治療計画(レジメン)の有効性と安全性を評価するDEVOTE試験のデータの一部を発表しました。

スピンラザはSMAの乳幼児、小児および成人の治療薬として世界71か国以上で承認され、全世界では1万4,000人以上がこの治療薬での治療を受けています。スピンラザは、アンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)と呼ばれる核酸医薬で、完全な長さのSMNタンパク質が体内で生成される量を継続的に増やす効果が見込まれます。スピンラザは運動ニューロンが存在する中枢神経系に直接投与され、運動ニューロン喪失の根本原因を標的に治療します。

現在、スピンラザでは、SMAの治療薬として12mgのレジメンが承認されています。このDEVOTE試験では、既存のSMA治療の選択肢でまだ満たされていない医療ニーズに応えるため、現在承認されているより高用量、50mgもしくは28mgのスピンラザ投与についての安全性、忍容性、薬物動態、およびより高い有効性の可能性の評価を行いました。

高用量レジメンの忍容性は概ね良好、承認済みレジメンと同様の安全性プロファイル示す

DEVOTE試験はパートA~Cの3つのパートで構成され、さまざまな年齢や異なるタイプのSMAを有する145人の参加者が登録されました。

この試験のすべてのパートで、高用量レジメンの忍容性は概ね良好で、承認済みの12mgレジメンと同様の安全性プロファイルを示しました。治験中止および死亡に至った有害事象はパートBの未治療コホートのみで認められ、有害事象の発生割合は50/28mg投与群で20%、12mg投与群で24%、治療を行ってないシャム対照群(非治療群)で55%でした。

高用量レジメンに関する承認申請を各国に提出予定

3つのパートのうち、パートBの中心となるコホートでは、乳幼児期にSMAを発症し、かつこれまでにスピンラザ治療を受けていない(未治療)の子どもが対象でした。スピンラザの高用量レジメンによる治療は、非治療群と比較して、CHOP-INTENDと呼ばれる運動機能評価での指標を有意に改善し、主要評価項目を達成しました。

また、パートBの乳児型以外のコホートでは、HFMSEや、RULMと呼ばれる運動機能評価において、12mg投与群や非治療群と比較して数値的により高い改善を達成しました。副次評価項目においても、高用量レジメンは非治療群や12mgレジメンに対してほぼ全ての項目において一貫して優位な傾向を示しました。

同社は、スピンラザの高用量50/28mgレジメンに関する承認申請を世界各国の規制当局に提出する予定、と述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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