3,000アミノ酸以上から成るLAMA2タンパク質、一般的な遺伝子治療開発は困難
株式会社モダリスは、先天性筋ジストロフィー1a型(LAMA2-CMD)を対象に開発を進めている治療薬候補「MDL-101」について、米国食品医薬品局(FDA)から「オーファンドラッグ指定(Orphan Drug Designation)」を受けたと発表しました。
LAMA2-CMDは、LAMA2タンパク質の欠損によって引き起こされる重篤な先天性筋ジストロフィーです。LAMA2-CMDの原因となるLAMA2タンパク質は3,000アミノ酸を超える大きなタンパク質であるため、AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクターには搭載できず一般的な遺伝子治療の開発アプローチは困難だと考えられています。現在、遺伝子治療を含めてLAMA2-CMDの根本的な原因に対処する治療法はありません。
同社が開発した、疾患関連遺伝子の発現を特異的に調節するCRISPR-GNDM(R)技術を用いたMDL-101は、二本鎖DNA切断を導入することなく、筋肉組織全体にLAMA2と類似の構造を持つ遺伝子であるLAMA1を発現誘導するように設計されています。発現誘導されたLAMA1タンパク質により、欠損したLAMA2タンパク質の機能を補う効果が期待されます。
多国間での多施設臨床試験に向けて大きな一歩
オーファンドラッグ指定は、米国内の患者数が20万人未満であること、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして指定される制度です。この制度は、希少疾患治療薬開発を支援・促進することを目的に設定されました。この指定によりFDAからの開発優遇・促進策が米国にて活用可能となり、希少疾患における医薬品開発を加速する上で重要となる、多国間での多施設臨床試験に向けて、大きな一歩となります。
MDL-101は、先に「希少小児疾患(Rare Pediatric Disease)」指定も受けており、同社は、「開発する遺伝子治療が医療上の必要性が高い医薬品として認められた結果だと考えている」と述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)