新生児マススクリーニング検査、どんな病気を調べているの?陽性の通知がきたらどうしたらよい?

遺伝性疾患プラス編集部

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赤ちゃんが生まれると、数日後にかかとから少し採血され、病気の検査が行われます。この検査を、「新生児マススクリーニング検査」と言います。日本で生まれた赤ちゃんは、基本的に全員この検査を受けます。赤ちゃんを産んだことがある人は、「確かに、かかとから採血された」と覚えている人もいると思います。しかしこの検査、どのような病気を、どのような方法で調べる検査か、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。そこで今回、国立成育医療研究センター マススクリーニング研究室室長の但馬剛先生に、調べている病気の種類から、陽性の通知が来た場合にどうしたらよいかなどまで、新生児マススクリーニング検査についてのさまざまな質問にお答えいただきました。

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国立成育医療研究センターの外観

新生児マススクリーニング検査とは

新生児マススクリーニング検査とは何を目的に行われるどのような検査ですか?

新生児マススクリーニング検査の共通の目的として言えるのは、「生まれてすぐから治療を始めることで症状が現れるのを防ぐことができる病気を、生まれてすぐに見つける」ということです。

新生児マススクリーニング検査が始まるきっかけとなったのは、「フェニルケトン尿症」という病気です。この病気では、精神発達が遅れるという症状が現れるのですが、これは、時期が来てもしゃべらないなど、育ってみて初めてわかる症状です。この病気の原因が、「フェニルアラニン」という特定のアミノ酸を代謝できないためだとわかったのが1934年、精神発達の遅れがみられるフェニルケトン尿症のお子さんが、このアミノ酸の摂取を控えると症状が改善するとわかったのが、1951年です。

それなら生まれてすぐに食事療法を始めれば、そもそも精神発達が遅れなくてすむのではないかということになり、1961年に米国で、世界初の新生児マススクリーニング検査法がフェニルケトン尿症を対象に実用化されました。後でもう少し詳しくお話ししますが、検査は、ロバート・ガスリー博士が開発した「ガスリー法」という方法で行われることになりました。

少し遅れて日本でも、1977年から新生児マススクリーニング検査が正式に始まりました。ガスリー法、および同法を応用した検査法により、開始当初、フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症の4疾患が対象となりました。疾患によって症状は違いますが、どれも生まれてすぐに食事療法を開始することで、症状を防ぐことが期待できる疾患です。その後、内分泌異常症の2疾患(先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症)が追加された6疾患が対象となり、さらにタンデムマス法という新たな方法が2013年度から全国の自治体に導入されたことで対象疾患が一気に増え、現在は20の疾患が対象となっています。

新生児マススクリーニング検査の事業主体は自治体なのですね?

はい。もともと、2002年までは国の事業でしたが、その後一般財源化し、地方交付税を使って行われることになりました。現在、47都道府県+政令指定都市の計68自治体が、それぞれ事業主体となっています。厚生労働省は、必要な指導をする立場にあります。

現在の対象疾患を教えてください

現在、厚生労働省が各自治体に勧奨している対象疾患は、タンデムマス法で検査する先天性代謝異常症の17疾患と、タンデムマス法によらない、従前から検査が行われている3疾患(ガラクトース血症、先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症)の、計20疾患です。タンデムマス法が全国的に導入される前に、試験研究としてそれ以外の数疾患がいくつかの自治体でスクリーニングされていたという経緯から、この20疾患にいくつかの疾患を加えて対象としている自治体もあります。

新生児マススクリーニング検査の対象疾患(2021年10月現在)

疾患 分類 検査法
フェニルケトン尿症 アミノ酸代謝異常 タンデムマス法
メープルシロップ尿症(楓糖尿症) アミノ酸代謝異常 タンデムマス法
ホモシスチン尿症 アミノ酸代謝異常 タンデムマス法
シトルリン血症1型 アミノ酸代謝異常 タンデムマス法
アルギノコハク酸尿症 アミノ酸代謝異常 タンデムマス法
メチルマロン酸血症 有機酸代謝異常 タンデムマス法
プロピオン酸血症 有機酸代謝異常 タンデムマス法
イソ吉草酸血症 有機酸代謝異常 タンデムマス法
メチルクロトニルグリシン尿症 有機酸代謝異常 タンデムマス法
ヒドロキシメチルグルタル酸血症(HMG血症) 有機酸代謝異常 タンデムマス法
複合カルボキシラーゼ欠損症 有機酸代謝異常 タンデムマス法
グルタル酸血症1型 有機酸代謝異常 タンデムマス法
中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(MCAD欠損症) 脂肪酸代謝異常 タンデムマス法
極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(VLCAD欠損症) 脂肪酸代謝異常 タンデムマス法
三頭酵素/長鎖3ヒドロキシアシルCoA脱水素 酵素欠損症(TFP/LCHAD欠損症) 脂肪酸代謝異常 タンデムマス法
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1欠損症 脂肪酸代謝異常 タンデムマス法
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2欠損症 脂肪酸代謝異常 タンデムマス法
ガラクトース血症 糖質代謝異常 従来法
先天性甲状腺機能低下症 内分泌疾患 従来法
先天性副腎過形成症 内分泌疾患 従来法
赤ちゃんの血液は、いつ、どこから、どのくらいの量採取されるのですか?

生まれて4日~6日の間に、かかとから少しだけ採血します。血が一滴ポタッと垂れるときに、専用のろ紙に吸い込ませ、そのろ紙を検査センターに送ります。結果の通知は、その2日~3日後くらいに産婦人科に戻って来ます。

対象疾患はどのように決められ、また、追加されていくのですか?

日本では、今、対象疾患を追加するにあたり、どのようなデータをどれだけ集めて、どこに提出し、それを誰が審議し、どのように採用されるのか、といった明確なフローはありません。厚生労働省の母子保健課が窓口ではありますが、私たち専門家が揃えたデータを持って陳情に行ったからといって、すんなりと採用されるわけではありません。一方で、研究が進むにつれ、検査の対象になり得る病気は増えています。ですので、専門家はフローがはっきりしない中で、対象疾病の追加に向けて一生懸命に模索と行動を続けています。

新生児マススクリーニング検査の対象になるのが難しい先天性の疾患はありますか?

先天性の病気は山ほどありますが、その中には、診断はつくけれど治療法がまだないような病気もたくさんあります。生まれてすぐに見つけても治療ができない病気は、新生児マススクリーニング検査の対象外です。対象疾患は、治療できる疾患であることが大前提なのです。また、症状が出てから治療を開始しても手遅れにならないような病気も、生まれてすぐに必ずしも見つける必要がないので、対象外です。生まれつきの病気で、生まれてすぐに治療を始める必要があり、治療が可能なもの。それが新生児マススクリーニング検査の対象疾患になります。

また、新生児マススクリーニング検査の対象疾患が広がるきっかけとなったタンデムマス法は、血液に含まれる特定の物質を調べる方法なので、血液中に特定の物質が増えるようなタイプの病気(先天性代謝異常症)しか対象になりません。

タンデムマス法の原理について、簡単に教えてください

体内で、ある物質(A)から次の物質(B)へと変化させている酵素の働きが悪くなると、その変化がうまく行われなくなって、物質Aが溜まってきますよね。血液を用いて、その溜まった物質を測定することで病気であるかどうか判断するというのが、この検査法の原理です。

半世紀前に、世界で最初の新生児マススクリーニング検査が米国で始まった当初からの検査法である「ガスリー法」は、枯草菌と呼ばれる種類のバクテリアを利用した方法でした。具体的には、フェニルアラニンというアミノ酸がないと増殖できないバクテリアを、フェニルアラニンの存在しない寒天培地に仕込み、その上に赤ちゃんから採取した血液がしみ込んだろ紙を小さくくり抜いて乗せます。フェニルケトン尿症の赤ちゃんの血液には、フェニルアラニンが多く含まれているので、この病気の赤ちゃんの血液がしみ込んだろ紙の周りのバクテリアだけが、育つことができます。バクテリアが育った領域の直径の大きさと、ろ紙に含まれているフェニルアラニンの量は比例するので、これで病気を判断するという方法でした。機械がない時代に、年間400万人生まれる米国の子どもたちのフェニルアラニンを日々手作業で測り続けている技師さんたちがいたわけですが、これを実用化したのは、素晴らしい発明だったと思います。同じようなやり方で、ロイシンがないと育たないバクテリアはメープルシロップ尿症の検査に、メチオニンがないと育たないバクテリアはホモシスチン尿症の検査に使われました。この検査法だと、3つの病気を調べるには3つの検査を別々に行う必要がありました。

その後、液体クロマトグラフィーという、アミノ酸自動分析機が発明されました。これは後にノーベル賞を受賞したほどの画期的な発明だったのですが、これによりアミノ酸は一つの機械で同時に測れるようになり、新生児マススクリーニング検査は、この機械を利用して行われるように変わっていきました。さらにその後、タンデムマス法が開発されました。この方法は、アミノ酸に限らず、それ以外のさまざまな物質(アミノ酸や脂肪酸に由来する代謝物など)も一緒に測れる方法です。つまり、一人の血液を機械にかけると、多くの測りたい物質の結果が一度に出るのです。この機械が普及したおかげで、新生児マススクリーニング検査の対象疾患は一気に増えました。

新生児マススクリーニング検査の現状と今後の展望

新生児マススクリーニング検査により生まれてすぐに病気がわかった子どもたちは年々増えていますか?

対象疾患が増えたタイミングであれば、その分人数は増えますが、対象疾患に変更がなければ年々増えるということはなく、毎年同じくらいずつ見つかります。その理由は、それぞれの病気の子どもが生まれる頻度は大体決まっているからです。具体的には、日本人としての遺伝的な背景をもつ人たちの中で、今のタンデムマス法による新生児マススクリーニング検査を行った場合、およそ1万人に1人の割合で、調べたうちのどれかの病気が見つかります。

生まれてすぐに病気が見つかり治療を開始した子どもたちは、必ず病気の発症を防げますか?

各種の対象疾患中、新生児マススクリーニング検査の有用性が最も高い疾患として挙げられるのは、フェニルケトン尿症・MCAD欠損症・先天性甲状腺機能低下症です。フェニルケトン尿症は、血液中のフェニルアラニンの濃度が一定の範囲となるように食事療法でコントロールすると、正常発達が得られることが確立しています。先天性甲状腺機能低下症は、安価な甲状腺ホルモン製剤を1日1回内服するだけで、発達の遅れをはじめとする症状を予防できます。MCAD欠損症は低血糖発作から急死に至る疾患ですが、長い空腹状態を避けるだけで発症を防ぐことが可能です。

一方、新生児マススクリーニング検査で発見された患者さんの追跡調査では、疾患によっては発達の遅れなどを防ぎきれなかったケースも確認されていますが、自治体事業化された2002年度以降は、全国の情報を収集するのは容易ではなく、その要因などは必ずしも明確ではありません。ただ、「生まれてすぐに病気を見つけて治療を開始することで、典型的な病態の人は典型的に症状を防げる」ということは言えます。

検査の結果、陽性というお知らせが来たら、まず何をしたら良いですか?

お知らせの仕方は自治体ごとに少しずつ違うので、産婦人科から「項目が陽性です」と連絡が来て、とりあえずその産婦人科へ行くというような人もいるでしょう。「〇〇病の疑い」という風に、具体的な病名とともに通知が来るところもあるでしょう。

いずれにしても、陽性であればもう一度採血をして同じ検査を受けることになるので(再採血)、できるだけ早く赤ちゃんを産んだ産婦人科へ行ってください。それでまた同じ結果になった場合は、精密検査という流れになります。陽性と出た値(異常値)がとても顕著な場合、再採血なしですぐに精密検査となるケースもあります。これを即精検と言います。この場合、産婦人科ではなく、その地域で新生児マススクリーニング検査の管理をしている中心的な病院があるので、そこへすぐ行って頂くことになります。

再採血をする理由は、異常値が続かないケースもたくさんあるからです。たまたま測ったときに、少しだけ高い値が出て引っかかる人もいるため、再採血が行われるのです。新生児マススクリーニング検査は、見落としを防ぐために、異常値の基準が厳し目になっています。そのため、偽陽性が出る場合もあるのです。

スクリーニング検査で陽性となり、精密検査を経て病気の確定診断に至る人は全体の何割くらいですか?

スクリーニング検査で陽性となってから確定診断に至ったケースを全体として集計したデータは、現在のところありません。いま、新生児マススクリーニング検査は各自治体が事業主体であるため、国として集約されたデータはないのです。自治体によっては、一つの県で行われている検査を全て一つの中心的な病院で把握しており、この場合は自治体レベルで割合などを出すことができます。一方で、自治体に、検査結果を管理する病院が複数存在していると、各病院のデータを集約させるのは、個人情報保護の問題などで、なかなか困難です。また、自治体で1病院にまとまっているものを、全国分集めるのも、同じような理由で難しい状況です。そういうわけで、データに基づいた正式な答えを出すことはできませんが、先ほどもお話しした通り、日本人における各疾患の頻度は大体決まっており、それぞれ数万人に1人という割合です。人口の多い自治体では毎年患者さんが見つかる場合もありますし、逆に少ない自治体では、数年に1人見つかる場合もあります。

スクリーニング検査後の検査費用は、保険適用ですか?

基本的には保険診療として行われますが、必要な検査が全て保険適用とは限らない場合もあります。例えば、病気によっては、ある大学病院の、その病気を専門とする先生が特殊検査をされているケースなどもあり、この場合、研究として検査が行われることになります。つまり、その先生が獲得されている研究費が検査費用に充てられるわけなのですが、先生がやめてしまうと検査もできなくなってしまう、などの問題もあります。そんな中で、専門家全体で支え合いながら、こうした特殊検査は続けられています。しかし今は、遺伝子検査を含め、かなりの部分が保険適用となってきています。

精密検査のために受診するまでの間、不安な気持ちの相談先として信頼できる所はありますか?

陽性であることを通知するのは、自治体によって違いますが、多くは赤ちゃんを産んだ産婦人科か地域の保健師さんです。そのお知らせをくれたところにまず相談してみるのが良いでしょう。

私が以前、精密検査を担当していたときは、検査センターから産婦人科に結果を送るとき、一緒に「まずはここのホームページを見てください」という案内の紙を一緒に渡してもらうよう頼んでいました。そのホームページとは、大学病院内の私が作ったページで、各病気について私が適切と考える情報を載せているものでした。病気についてインターネット検索をすると、典型的に発症した場合を説明したネガティブな情報ばかりが見つかるので、そうしたネガティブな情報や誤った情報をもとに不安な気持ちが膨らまないようにと考え、そのようにしていました。いま、私の研究室のホームページ内にも、「新生児マススクリーニングで「陽性」となった赤ちゃんの保護者の方へ」というページを開設しています。インターネット検索をする前に、こちらのページを読んでみて頂ければと思います。

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国立成育医療研究センター マススクリーニング研究室 オリジナルウェブサイト
新生児マススクリーニング検査における現在の課題は何でしょうか?

課題は山ほどありますが、中でも、新生児マススクリーニング検査によって、「どのような病気をもって生まれた赤ちゃんが、どこで、何人見つかったのか、また、その人たちは無事に育っているのか」といったデータを全国的に集め、追跡する方法が今のところないというのが、非常に大きな課題です。

各自治体から厚生労働省に、毎年、年度末時点でのデータが報告されますが、その中には最終結論に至っていないケースも含まれている場合があります。また、里帰り分娩の場合、生まれた場所で病気がわかった人として報告が上がっても、その後、県境を越えると追跡ができません。こうした状況などから、正確なデータを集める方法が、今のところ制度的にはないのです。

それらの課題に対し、今後どのような解決策や改善が考えられますか?

ここ数年、全国的なデータを得るために、ある取り組みを行ってきています。それは、新生児マススクリーニング検査を自治体の中心として担当する小児科医をそれぞれ一人ずつ決めてもらい、その医師に自治体内の情報が集約されるようにして、アンケート調査で全国分のデータを集める、というスキームです。まだ、全ての自治体に協力して頂けているわけではなく、担当医を自治体で一人に決めるのが難しい地域もあったりするため、簡単ではありませんが、この方法で、80~90%くらいのデータを集めることができてきています。全国の自治体から直にデータを集めることができる仕組みを作るというのが理想ですが、そのためには、個人情報保護の観点をどうクリアするかが鍵だと思っています。

また、この全国データ収集について一つ、明るいニュースとして言えるのは、成育基本法が、2019年12月に施行となったことです。この法律の正式名称は、「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」という長い名前で、保健のための事業に対する集計や調査の促進も含まれるものです。法律という大きなバックボーンができたことで、全国データの100%収集を加速的に実現できればと思っています。

今後、もっとたくさんの対象疾患を一度に検査できるような新しい方法の研究などは進んでいますか?

タンデムマス法のように、新生児マススクリーニング検査の対象疾患を一気に拡大するような新しい方法は、今のところありません。一方で、生まれてすぐにわかることで治療が可能なため、ぜひ追加したいという病気がいくつかあります。その中には、タンデムマス法に追加できる病気もありますし、個別の検査を別に行う必要がある病気もあります。

現在、自治体によっては、そうした疾患の検査を自費負担で行っているところもあります。公的事業として検査できるようになるには、それぞれの病気が早く見つかることがどれだけ重要かというデータを示す必要があり、ここにも先ほどお話しした、データ統一に関する現在の課題が関わってきます。比較として米国では、対象疾患を追加していくための国レベルの評価の仕組みが構築されています。これは、候補となる疾患について、複数の評価項目に対し点数が付けられ、その合計点を基準にして、対象疾患として追加するかどうかを決めていくという仕組みです。日本でも、こうした基準を作っていく必要があると考え、いま、私が代表となり、研究を進めています。

最後に先生から、読者のみなさんに一言お願い致します

新生児マススクリーニング検査について、よく知らないという方がほとんどだったと思います。ですので、この記事をきっかけに、皆さんに新生児マススクリーニング検査のことを少し知ってもらえたならうれしく思います。教育格差や貧困など、さまざまな社会問題を日々耳にしますが、少なくとも日本で生まれた子どもには、平等に検査を届けようという仕組みがあるということを、ぜひ心に留めてください。


赤ちゃんから少量の採血をして病気を調べる「新生児マススクリーニング検査」は、生まれてすぐに治療を始めることで症状を防ぐことが期待できる病気を調べるための検査で、現在は20疾患が対象になっているとわかりました。タンデムマスという検査法の登場が、それまで数疾患であった対象疾患の拡大に大きく貢献したこともわかりました。対象疾患を増やすためには、しっかりとした根拠をもとに検討していく必要があり、但馬先生は今、全国のデータを確実に集めて追跡していく方法や、対象疾患を選定する基準の策定などに、ご尽力されています。

但馬先生は、取材後すぐに関連資料を送ってくださり、その資料を合わせて確認することで、理解を深めることができました。難しい状況の中で全国のデータを地道に収集し、また、日本における対象疾患選定基準導入の準備を進めるなど、但馬先生が推進する多くの研究は、日々生まれてくる赤ちゃんたちの、そして日本の未来に、つながっていきます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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但馬 剛 先生

但馬 剛 先生

国立成育医療研究センター マススクリーニング研究室室長。博士(医学)。1995年に広島大学医学部医学科を卒業。専門は、先天代謝異常、新生児マススクリーニング。日本小児科学会 小児科専門医、日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医、日本マススクリーニング学会 理事・評議員、日本先天代謝異常学会 理事・評議員。