DMDのエクソン44スキップ治療薬、FDAによる3つの指定で開発加速へ

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. デュシェンヌ型筋ジストロフィーの新しい治療薬NS-089/NCNP-02は、エクソン44スキッピングを行う核酸医薬
  2. この薬に対し、米国FDAが、ブレイクスルーセラピー指定・希少小児疾患指定・オーファンドラッグ指定を行った
  3. 既存のエクソン53スキップ薬「ビルトラルセン」が適応でない患者さんに対する治療選択となり得る

米国食品医薬品局より3つの指定

国立精神・神経医療研究センターと日本新薬株式会社の研究グループは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬「NS-089/NCNP-02」が、米国食品医薬品局(FDA)より、「ブレイクスルーセラピー指定」「希少小児疾患指定」「オーファンドラッグ指定」の3つの指定を受けたことを報告しました。これらの指定により、開発と審査が迅速化されるようFDAから優遇を受けることが可能になります。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、筋肉細胞を支える「ジストロフィン」と呼ばれるタンパク質が失われ、骨格筋、心筋、肺などの筋力が次第に低下する進行性の遺伝性疾患です。

「ブレイクスルーセラピー指定」は、臨床的に重要な項目において、これまでの治療法と比べて顕著な改善を示した薬剤について指定されます。「希少小児疾患指定」は、18歳までに発症し米国で患者数が20万人未満の重篤または生命を脅かす疾患について指定されます。「オーファンドラッグ指定」は、米国内の患者数が20万人未満の疾患が対象となり指定されます。

ビルトラルセンとは別のエクソンが標的

タンパク質が作られる際、DNAから転写されたRNAの3塩基ずつの並び順によってアミノ酸が指定されます。遺伝子に変異があると、この読み取り枠にずれが生じ全く異なるアミノ酸配列のタンパク質が形成され、機能が大きく損なわれることがあります。

NS-089/NCNP-02は、「エクソン・スキップ治療」と呼ばれる方法で、短いアンチセンス核酸を用いて人為的にRNAを取り除きアミノ酸の読み取り枠のずれを修正する核酸医薬です。この治療薬により、部分的に短縮するものの機能を保ったジストロフィンタンパク質が作られることで筋症状の改善が期待できます。デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおけるジストロフィン遺伝子の変異にはさまざまな型がありますが、NS-089/NCNP-02による治療の対象は、エクソン44スキッピングにより治療可能な遺伝子変異を持つDMD患者さんで、2023年4月に米国食品医薬品局(FDA)とこの治療薬の第2相試験について治験計画合意に至ったことが報告されていました。

エクソン・スキップ治療について日本では、研究グループが見出したNS-065/NCNP-01を有効成分としたエクソン53スキップ薬である核酸医薬品「ビルトラルセン」(製品名:ビルテプソ)が承認されていますが、この薬が適応にならない患者さんに対し、別のエクソンを標的とした薬剤の開発が求められています。

なお、日本国内では医師主導治験に参加した6名を対象とした継続投与試験が実施されていますが、今後新たに日本を含めた国際共同第2相試験が準備されています。

研究グループは、今回のFDAによる3つの指定は、NS-089/NCNP-02が新規治療薬として有望であることを示しており、引き続き使命感を持って取り組んでいくと述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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