ニーマンピック病C型、新薬MIPLYFFAを米FDAが承認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. ニーマンピック病C型(NPC)の治療薬として、MIPLYFFAカプセルがFDAから承認
  2. MIPLYFFAとミグルスタット併用投与、12か月間病気の進行を阻止
  3. 最も多い副作用は、上気道感染症、下痢、体重減少

コレステロールなどを輸送できず神経障害の症状が現れる、ライソゾーム病の一つ

ゼブラ・セラピューティクス社は、ライソゾーム病の一つであるニーマンピック病C型(NPC)の経口治療薬として、MIPLYFFA(TM)(一般名:アリモクロモル)カプセルが米国食品医薬品局(FDA)から承認されたことを発表しました。

細胞内小器官のライソゾームで働く酵素の働きに異常が生じることで発症するライソゾーム病の一つであるNPCは、NPC1またはNPC2遺伝子の変異によって引き起こされます。この疾患では、コレステロールやその他の脂質を細胞内で輸送できず、ニューロンなどのさまざまな細胞においてこれらの物質が蓄積します。神経障害により発話、認知、嚥下、歩行、微細運動能力(細かいことをする運動)などに症状が現れ、症状が進行し早期死亡につながることもあります。疾患の診断に何年もかかることもあります。

MIPLYFFAは、転写因子と呼ばれる役割を持つタンパク質を活性化し、ライソゾームの調節遺伝子の発現を高めます。MIPLYFFAは、ヒトNPC線維芽細胞のライソゾーム内のコレステロールを減少させることも示されていますが、臨床的にどのような意味があるのかは完全に解明されていません。MIPLYFFAは、NPCの治療薬として、FDAから画期的治療薬、小児希少疾患、希少疾病用医薬品、ファストトラック指定を受けており、さらに、MIPLYFFAは、NPCの治療薬として、欧州医薬品庁(EMA)から希少疾病用医薬品指定を受けています。

48か月の延長研究でもNPCの自然史コホートと比較して結果が改善

MIPLYFFAのNPC治療薬としての承認は、2歳から19歳のNPC患者さんを対象とした12か月間の臨床試験のデータに基づいて行われました。この試験において、MIPLYFFA群の患者さんの76%とプラセボ群の患者さんの81%が、日常的な治療の一環としてミグルスタットを併用投与されました。

有効性は、再スコア化された4ドメインNPC臨床重症度スケール(R4DNPCCSS)を使用して評価されました。この試験の結果、R4DNPCCSSのポイントから、MIPLYFFAはミグルスタットとの併用により12か月の治療期間を通じて病気の進行を阻止したことがわかりました。また、追加の解析において、NPCの自然史コホートでの試験データと比較し、結果が改善したことが48か月の延長研究のデータから確認されました。

安全性については、MIPLYFFAとミグルスタットを併用投与された患者さんに最も多く見られた副作用(15%以上)は、上気道感染症、下痢、および体重減少でした。また、試験においてMIPLYFFA治療を受けた患者さんのうち3%で、血清クレアチニン値の上昇、進行性蕁麻疹および血管性浮腫という、試験からの脱落につながる副作用が認められました。

MIPLYFFAの適応症および使用法は、成人および2歳以上の小児患者さんにおけるニーマンピック病C型(NPC)の神経症状の治療において、ミグルスタットとの併用で使用されます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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