ALS、発症年齢や重症度に影響を与える関連遺伝子が複数知られている
新潟大学の研究グループは、日本人における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の関連遺伝子として、SMN2遺伝子のコピー数変異を見出したと発表しました。
代表的な神経難病ALSの原因として、遺伝的要因が関与することがあると知られています。遺伝子変異によってALSを引き起こす原因遺伝子として、これまでに30種類以上が知られています。さらに、ALSを直接発症させないものの、発症年齢や重症度に影響を与える「関連」遺伝子も複数知られており、その一つとしてSMN遺伝子のコピー数変異があります。SMN遺伝子は、ALSと同様に運動神経が障害される脊髄性筋萎縮症(SMA)の原因遺伝子でもあります。
一方、主に欧州の患者さんを対象とした研究において、SMN遺伝子のコピー数変異とALSの関連について否定した論文もあり、詳細はわかっていませんでした。研究グループは、日本人におけるALSとSMN遺伝子の関係を明らかにする必要があると考え、研究を行いました。
SMN2遺伝子を持たないALS患者さんは進行が早いと判明
研究グループは、日本人ALS患者さん487人、非ALS患者さん399人の遺伝子を解析し、SMN遺伝子コピー数をddPCR法と呼ばれる方法で解析しました。
解析の結果、 ALS患者さんのグループでは、非ALS患者さんよりもSMN2遺伝子を1コピーのみ持つ患者さんが多く見られること、また、SMN2遺伝子を1つも持たない患者さんではALSの進行が早いことが明らかになりました。これらの結果から、欧州の結果とは異なり、SMN2遺伝子のコピー数は日本人のALSに関連する遺伝子であることが示されました。
研究成果は、ALSの予後予測や治療法開発に応用されることが期待されます。
研究グループは、SMN遺伝子以外にも地域により異なる遺伝的背景があることが予想され、より大規模な、また異なる地域での研究が期待される、と述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)