ヒトがもつほとんどの遺伝子は、両親からそれぞれ1コピー受け継いで、計2コピーずつあります。しかし場合によっては、遺伝子のコピー数が2つでないこともあります。つまり、特定の遺伝子のコピーが1つに減ったり、3つ以上に増えたりした状態で生まれる場合もあるのです。また、1つまたは複数の遺伝子が1コピーもないという場合もあります。こうした違いは、コピー数多型(CNV)として知られています。
CNVは、少なくとも1,000塩基(1,000文字)以上の長いDNA断片の挿入、欠失、複製などで生じます。これくらい長いと、その中に遺伝子が丸々1つ含まれているような場合もしばしばあるため、CNVとなるわけです。CNVは、遺伝子の活性や、その遺伝子から作られるタンパク質の機能に影響を与えうるため、身体機能にも影響を与える可能性があります。
これまでの研究により、ヒトの遺伝的な違いの多くは、CNVで説明がつくことがわかってきています。ヒトゲノムの10%以上はCNVを含むようだと考えられています。これらのCNVの多くは、ヒトの健康や発達に影響を与えるものではありません。しかし、中には、病気のリスク(いくつかの種類のがんなど)や特定の薬への反応に影響を与える可能性があるものもあります。(遺伝性疾患プラス編集部)