ノンコーディングDNAが変化すると健康や発育は影響を受けますか?

遺伝性疾患プラス編集部

「遺伝子変異と健康」Topに戻る

遺伝子が変化すると、体内のタンパク質の機能も変化して、健康問題が引き起こされる可能性があることはよく知られています。しかし、遺伝子を含まないDNA領域(ノンコーディングDNA、非コードDNA)が変化しても病気が引き起こされる可能性があると科学者によって明らかになってきています。

ノンコーディングDNAの多くの領域は、遺伝子の発現を制御する役割を果たしています。つまり、特定の遺伝子がいつ、どこでオンになったりオフになったりするかの決定につながるのです。ノンコーディングDNAの他の領域は、タンパク質の生産に重要になってきます。ノンコーディングDNAの変異体(突然変異)は、これらの領域のどこかが変化することによって、遺伝子をオンにしたり、タンパク質を誤った場所あるいは誤った時間に作り出していたりすることがあります。あるいは重要なタンパク質が必要なときに生産されなくなったり、生産量が減ったりすることもあります。ノンコーディングDNAのすべての変化が健康に影響を与えるわけではありませんが、重要なタンパク質のパターンを変化させるものは、正常な発育を妨げたり、健康上の問題を引き起こしたりする可能性があります。

ノンコーディングDNAの変異は、いくつかのタイプのがんや、孤立性ピエール・ロバン症候群などの発達障害と関連しています。この疾患は、エンハンサーのエレメントとして機能するノンコーディングDNAの領域の変化によって引き起こされます。エンハンサーはタンパク質に結合して特定の遺伝子の発現を助ける機能を持っています。孤立性ピエール・ロバン症候群で変化しているエンハンサーは、SOX9遺伝子の発現制御に関わります。

エンハンサーとしてだけではなく、ノンコーディングDNAの変異は他の発現制御に関わる構成要素を破壊してしまうことがあります。これらには、遺伝子をオンにするタンパク質が結合するプロモーター、遺伝子の発現をさまざまな方法で調節するタンパク質が結合するインスレーター、遺伝子をオフにするタンパク質が結合するサイレンサーなどがあります。

ノンコーディングDNAの一部の領域は、特定のRNAを作らせることで、遺伝子発現を制御したり、タンパク質を作り出したりする役割を果たしています。トランスファーRNA、マイクロRNA、ロングノンコーディングRNAなど、これらの機能的なRNAを阻害する変異体もまた、疾患に関与していると考えられています。

遺伝子や染色体の構造に起こるものと同じ種類の遺伝的変化がノンコーディングDNAに起こった場合も健康や発達は影響を受けることがあります。これらの変化には、単一DNAの構成要素の変化(置換)、挿入、欠失、重複、転座などが含まれます。ノンコーディングDNAの変異は、親から受け継ぐこともあれば、生まれてから後天的に生じることもあります。

細胞内で機能しているノンコーディングDNAの領域を特定するための方法や、そのような領域が果たす役割については、まだ不明な点が多く存在しています。そのため、ノンコーディングDNAの遺伝的な変化を、特定の遺伝子への影響や健康状態と関連付けることは難しくなっています。ノンコーディングDNAの役割や、ノンコーディングDNAの遺伝的な変化が生体に及ぼす影響については、今後も研究が進む分野となっています。(提供:ステラ・メディックス)

関連リンク

遺伝子変異と健康 」の記事

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

このページ内の画像は、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
こちらのページから遺伝に関する説明図を一括でダウンロードすることも可能です。