遺伝子のDNA配列は、さまざまなかたちで変化します。遺伝子変異は、変異が発生した部分や、生きていくのに必須なタンパク質の機能を変化させるかどうかなどによって、健康にさまざまな影響を及ぼします。
ここでは、遺伝子変異の種類をご紹介します。
遺伝子変異の種類 |
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ミスセンス変異 遺伝子のDNA配列のうち、1文字(1塩基対)が変化することにより、その遺伝子からつくられるタンパク質を構成するアミノ酸のうち1つが別のアミノ酸に置換される変異のことです。 |
ナンセンス変異 ナンセンス変異も、遺伝子のDNA配列のうち、1文字(1塩基対)の変化です。この変異では、あるアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わる代わりに、タンパク質の合成がその部分でストップします。その結果、ナンセンス変異の生じたタンパク質は、適切に機能しなくなるか、まったく機能しなくなります。 |
挿入(インサーション) 挿入は、DNAの一部が追加され、塩基数が変化する(増える)ことです。挿入の生じた遺伝子から作られるタンパク質は、適切に機能しなくなる可能性があります。 |
欠失(デリーション) 欠失は、DNAの一部が欠けて、塩基数が変化する(減る)ことです。小さな欠失では、遺伝子内の1つ~数個の塩基対が欠けますが、大きな欠失では、遺伝子全体またはいくつかの隣接する遺伝子が欠ける可能性があります。欠失の生じた遺伝子から作られるタンパク質は、適切に機能しなくなる可能性があります。 |
重複(デュプリケーション) 重複は、DNAの一部が、異常に1回以上コピーされることです。重複が遺伝子に生じると、そこから作られるタンパク質の機能が変化する可能性があります。 |
フレームシフト変異 フレームシフト変異は、DNAの挿入または欠失により、遺伝子の「リーディングフレーム」が変化して起こります。タンパク質のアミノ酸配列は、遺伝子の塩基配列のうち、3文字ずつのグループを順番に読み取ることで決定されていきます。この、読み取られる部分をリーディングフレームといいます。フレームシフト変異では、挿入や欠失により、3文字のグループがずれ、適切なアミノ酸への変換がなされなくなります。作られたタンパク質は、ほとんどが機能しません。挿入、欠失、重複は、すべてフレームシフト変異を起こす可能性があります。 |
リピート伸長 短いDNA配列が連続して何回も繰り返されたものを、「ヌクレオチドリピート」といいます。たとえば、トリヌクレオチドリピートは3塩基対、テトラヌクレオチドリピートは4塩基対の配列が繰り返された構造です。リピート伸長は、ヌクレオチドリピートの、繰り返し回数が増加した変異です。リピート伸長が遺伝子に生じると、そこから作られるタンパク質の機能が変化する可能性があります。 |
(遺伝性疾患プラス編集部)