ほとんどすべての症状や病気には遺伝的な要素が関わっていることが研究者らによって明らかにされています。鎌状赤血球症や嚢胞性線維症などの一部の疾患は、単一の遺伝子の変異によって引き起こされます。心臓病、2型糖尿病、肥満などの一般的な健康の問題は、単一の遺伝子によって引き起こされるのではなく、複数の遺伝子(多遺伝子)に加えて、運動、食事、汚染物質への暴露などの生活習慣や環境要因が組み合わさって影響しています。このように多くの要因が絡み合って発症する疾患を「多因子疾患」と呼びます。
多因子疾患は特定の家族にクラスターとなって発生することがよくありますが、明確な遺伝パターンがあるわけではありません。特に、家族は環境を共有していることが多く、ライフスタイルも似ていることから、これらの疾患における遺伝の役割を特定するのは難しい可能性があります。そのため、これらの疾患が遺伝していく、あるいは引き継がれていくリスクを判断することは困難です。また、多因子疾患の多くは原因となる要因が明らかになっておらず、研究や治療も困難となっています。研究者らはこうした一般的な複合性疾患を引き起こす主要な遺伝子の探索を継続しているのです。(提供:ステラ・メディックス)