ヒトのからだの細胞は、何千種類もあるタンパク質が、それぞれ適切な場所、適切なタイミングで働くことで正しく機能しています。タンパク質は、遺伝子を設計図として作られます。そのため、遺伝子に変異が生じると、タンパク質が正しく機能しなくなる場合があります。
遺伝子変異により、タンパク質が誤って機能するようになったり、タンパク質そのものが作られなくなったりする可能性があります。体にとって重要な役割を担うタンパク質の遺伝子に変異が入ると、正常に生まれてこなかったり、病気になったりする可能性があります。このように、1つまたは複数の遺伝子変異によって引き起こされる病気を、「遺伝性疾患」と呼びます。
遺伝子変異は、生まれるまで命が続かないほど非常に深刻な場合もあります。こうした変異は、胚発生に必須の遺伝子に起こるため、発生の初期段階で命を落とすことになってしまうのです。
重要なのは、「遺伝子そのものが病気を引き起こしている」のではなく、「遺伝性疾患は、遺伝子の正常な機能を妨げるような変異によって引き起こされる」ということです。例えば、「嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)の遺伝子をもつ人」と言った場合、それは「CFTR遺伝子に嚢胞性線維症の原因となる変異をもつ人」を意味します。 CFTR遺伝子は、嚢胞性線維症の人でもそうでない人でも、全ての人が持っているのです。(遺伝性疾患プラス編集部)