【編集長に聞く!①】遺伝性疾患プラスが「正しく」「わかりやすく」にこだわる理由

遺伝性疾患プラス編集部

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2020年にサイトオープンし、2023年に3年目を迎える遺伝性疾患プラス。今回は、その企画から立ち上げを行い、現在、編集長も務めている二瓶さんにお話を伺いました。前編では、「遺伝性疾患プラス立ち上げの理由」「難しい内容を、正しく・わかりやすく届ける理由」などを、ご紹介します!

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編集長が「遺伝性疾患プラス」を立ち上げた理由 

遺伝性疾患プラスは、どのようなメディアですか?

遺伝性疾患プラスは、遺伝情報の変化により引き起こされる病気について、さまざまな情報を、医学的根拠に基づいて正しく、そして、わかりやすくお伝えすることを目的とした、遺伝性疾患情報の専門メディアです。

例えば、いろいろな種類の遺伝性疾患について、その原因や治療法などの難しい内容を、説明図などを交えて丁寧にわかりやすく解説しています。他にも、専門医のインタビュー患者さん当事者やご家族患者支援団体のインタビュー、国内外で実施中の臨床試験情報、そして、多くの方に共通してお読み頂ける「生活のヒント」なども掲載しています。基礎知識をもっとじっくり理解して頂くための「学習コンテンツ」などもあるんですよ。

疾患の当事者・ご家族から医療者・教育者の方、一般の方まで、幅広くお読み頂けるメディアです。

遺伝性疾患プラス立ち上げの背景について、教えてください。

私はもともと、大学の教員として、病気に関わる遺伝子などを研究していたんです。その中で、ヒトゲノムが解読されたり、それを皮切りに遺伝子治療ゲノム医療が始まったりといったところを目の当たりにしてきました。

こうした医療は、主にがんや遺伝性疾患に対して応用されてきていますが、がんに対する一般の方向けの情報メディアは充実しているのに対し、遺伝性疾患に対する一般の方向けのまとまったメディアは無いことに気付いたんです。

遺伝性疾患を持つ人たちが、今後、ゲノム医療など、最先端の医療を受けるに当たり、納得してその治療を受けるためには、その病気について正しく知ることが必須です。「その手助けができるサイトを作りたい!」と思ったことが、遺伝性疾患プラス立ち上げのきっかけでした。

実は、理由はもう一つあって、病気の当事者以外の、一般の方々も、こうした疾患を正しく知る必要があると思ったんです。「遺伝性疾患」と聞いて「かわいそう」「自分とは関係ない」と思っている人は、たくさんいると思います。どんな理由で起こるのか、どんな病気なのかを知ることで、イメージだけで広がっている偏見などが世の中から減ってくれると良いなという思いもありました。

マスコットキャラクター「ジーンくん」に託した思い

遺伝性疾患プラス・マスコットキャラクター「ジーンくん」が誕生した理由はありますか?

「遺伝」って、「難しくとっつきにくいもの」という印象を受けやすいかなと思うんです。そこで、「もっと身近なもの」として受け入れてもらいたいなという思いから、ジーンくんというキャラクターを誕生させました。ジーンという名前は、英語で、遺伝子を表すgeneから取りました。ジーンくんのおなかは、DNAの二重らせんになっているんですよ。実は、サイトを立ち上げる会議のときに、どうしてもキャラクターが欲しい!と、何度も何度もみんなに訴え、そしてある日ついに、デザイナーさんが、「こんな子ができました!」と誕生させてくれたんです。そのときの喜びは、忘れられません。

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マスコットキャラクター「ジーンくん」

サイトのあちこちでジーンくんがかわいく登場しているので、ぜひ見つけてほっこりして頂きたいな、そして、遺伝について「身近なもの」と思ってもらいたいな、と思っています。

ちなみに、ジーンくんを誕生させてくれたデザイナーさんは、あの素敵なロゴも考えてくれたんですよ。これも私が無理を言って、プラスのマークの中に二重らせんを入れて欲しいとしつこくお願いしたら、こんな風に素敵な感じに入れてくれたんです!

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遺伝性疾患プラスのロゴ

難しい内容だからこそ、「わかりやすく」伝えたい

「疾患解説記事」は、どのようにつくっていますか?

大前提として、伝える側が正しく確実に理解していなくては、わかりやすく伝えることはできません。ですので、国内外の、医学的根拠に基づいた参照情報を収集したら、まずはそれをじっくりと読み込みます。そのうえで、どこまで簡単な表現にしても正しさが失われないか、など、一つひとつ細かく考えながら、記事を作っていきます。

国内のサイトに一般の方向けの情報がとても少ない、あるいは全くないような疾患についても、当事者の方から「ぜひこの疾患の解説を作って欲しい」とご連絡頂くことがあります。そういった場合にも、海外の文献などをできるだけ集め、記事として届けるようにしています。

作った記事は、他の編集者に必ず目を通してもらい、「ここがわかりづらい」「もっと別の表現はないか」といった意見を頂いて、さらに理解しやすい記事にするようにしています。その他、公開後、家族や友人、そのほか医療に詳しくない人などに「わかる?」「どう思う?」と聞いて、記事作成のヒントにすることもあります。

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正しく・わかりやすい記事にするため、さまざまな工夫をしている編集長
疾患解説は難しい内容だからこそ、「わかりやすく」にこだわっているんですね。その他、どういった工夫をしていますか?

 遺伝に関する内容は、やっぱり難しくて、文字だけの説明では、なかなか理解がしづらい場合も多いですよね。そこで、病気の解説記事を中心に、説明のイラストを入れています。これは、完全オリジナルな説明図で、「どうやったら伝わりやすいか?」に徹底的にこだわり、編集者だけでなく、デザイナーなどチームメンバーの意見も取り入れながら作成しています。説明図を入れることで、実際に当事者やご家族から「理解できた!」と感想を頂けたこともあり、やはり「絵で理解する」ことは大事だなと改めて思いました。

一方で、遺伝性疾患には、目の機能に関わる病気もあります。そうした方々に取材をした編集部メンバーが気づいて提案してくれたのが「音声コンテンツ」、つまり、耳で聞くコンテンツです。まだ、疾患解説のような、長い内容では作っていませんが、読者から寄せられた、遺伝に関する質問にお答えするようなコンテンツを作って公開を始めています。目に症状が現れている方も聞いて知ることができ、さらに、病気のお子さんのお世話で手が離せない方も、何かしながらでも視聴できるということで、いま増やしていっているところです。


病気に関わる遺伝子などを研究していた、編集長の二瓶さん。ゲノム医学の進歩を間近に見る中で、「遺伝性疾患の当事者が今後、ゲノム医療などの治療を納得して受けるためには…?」と考えられていたエピソードが印象的でした。そして、「当事者が病気について正しく知る手助けをしたい」という編集長の思いが、現在の遺伝性疾患プラスのさまざまなコンテンツにつながっていましたね。

後編の【編集長に聞く!②】では、「編集長の研究者時代エピソード」「遺伝性疾患プラスの目標」といったお話を伺います!(遺伝性疾患プラス編集部)

 

▶コチラの動画もあわせてご覧ください!「遺伝性疾患プラス立ち上げの背景」「正しく・わかりやすく届ける理由」について

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