生まれながらに症状を持つご本人とご家族、そして医療者がつながり合い、支え合うことを目的に構築された支援システム「GENIE(ジーニー)」。その成り立ちと活動に触れるきっかけとなったのは、遺伝性疾患プラスで以前取材させていただいた、小児遺伝性疾患に関する吉橋博史先生(東京都立小児総合医療センター 遺伝診療部 部長)のお話でした(記事はコチラ)。その後、2025年2月に開催された第47回日本小児遺伝学会で、GENIEのプロジェクト責任者である二川弘司先生(同診療部 医長)と出会いました(記事はコチラ)。こうしたご縁をきっかけに、遺伝性疾患プラスの疾患解説記事をGENIE内の「遺伝子・疾患情報」ページにリンクしていただくなど、情報の連携が始まりました(プレスリリースはコチラ)。そこで今回、二川弘司先生にGENIEがどのように生まれ、どんな役割を果たしているのか、そして今後どんな広がりを目指しているのかなど、詳しくお話を伺いました。

GENIE誕生の背景と役割
GENIEを立ち上げた背景と、主な目的について教えてください
今回、GENIEというプロジェクトを立ち上げた背景には、IRUD(未診断疾患イニシアチブ)の取り組みが関係しています。IRUDが始まって10年になりますが、私自身もちょうどその頃から遺伝医療の分野に関わるようになり、気づけばこの業界で10年目を迎えました。この10年で、診断がつくケースは本当に増えてきました。原因遺伝子がわかり、病名がはっきりすることは、患者さんやご家族にとって大きな前進です。一方で、診断がついたあとに「この病気について詳しく知りたい」と思っても、ほとんど情報が見つからない、という声をたくさんいただいてきました。さらに、「同じ病気の方やご家族と話してみたい」「つながりたい」という思いを抱えていらっしゃる方も多く、そうしたニーズに十分応えられていない現実も強く感じていました。
こうした声に接する中で、診断がついたあとにも支援が必要であるということを、あらためて強く実感するようになりました。これは私だけでなく、多くの遺伝科医、遺伝カウンセラーなど遺伝医療に従事する医療者が同じように感じてきたことだと思います。そこで、令和5年度 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築」(研究代表者:小崎健次郎先生)として、東京都立小児総合医療センター遺伝診療部でこの取り組みを始めました。GENIEの最終的な目標は、診断後の患者さんやご家族が感じる不安や孤立感を少しでもやわらげ、その先の希望につなげていくことです。そのための小さな一歩として、GENIEはスタートしました。現在は、ピアカウンセリング支援と疾患に関する情報提供を2つの柱として活動を進めています。
GENIEにおけるピアカウンセリング支援の内容について教えてください
GENIEのプロジェクトのなかでも、特に力を入れて取り組んでいるのが、同じ疾患の診断がついた患者さん同士をおつなぎすることです。超希少疾患では、「同じ診断の人に会ったことがない」という声が多く、そうした方たちが少しずつでもつながっていける場をつくることが、私たちの大きな目的の一つになっています。
これまでに遠隔でのピアカウンセリングは3回実施しています。まだ確立されたやり方があるわけではないのですが、これまでの流れとしては、最初の15〜20分程度で医療者が改めて疾患情報を簡単に説明し、その後の40分〜1時間ほどは、患者さん同士の自由な交流の時間として過ごしていただいています。
現状では、開催に向けシステム化された仕組みがあるわけではなく、1件ずつ私たちが各施設と連携を取りながら調整を進めている状況です。具体的には、ピアカウンセリングの希望が強い患者さんやご家族からが通院されている医療機関を起点にします。その後、「○○病院にこの疾患の患者さんがいる」とわかった場合には、私たちからその病院に連絡を取り、計2施設以上でピアが可能な状況を確認したうえで、他の参加施設にも呼びかけていくという流れです。2024年10月に行ったDDX3X関連神経発達異常症の会では、5つの医療機関から6家族が参加する形で実施できました。
最終的には、GENIEを通じて、さまざまな希少疾患に関する情報やサポートにつながる窓口のような場になることを目指しています。そのためにまずは、人と人がつながる場を、一つひとつ丁寧に作っていきたいと考えています。

GENIEにおける情報提供の内容について教えてください
さまざまな先天異常症候群、希少疾患について、情報を必要とする日本の方が、よく知ることができるために、日本語による疾患情報:疾患解説シートを作成し、HPへ掲載しています。
どういう疾患から解説シートを載せていくか、明確なルールを設けているわけではありません。ただ、ある程度の優先順位のようなものはあります。基本的には、日本語での情報が手に入りにくい希少疾患を優先して掲載しています。たとえば、小児慢性特定疾病や指定難病にすでに含まれている疾患については、公的な情報源で一定の情報が得られるため、GENIEでの掲載は比較的後になります。GeneReviews(R)などの海外の信頼できる情報源にまとまった情報がある疾患については、翻訳を通して日本語化することで、比較的早く掲載できるため、そういった疾患も、掲載対象としては優先度が高くなります。また、当院の外来に実際にいらっしゃった患者さんやご家族から「この病気の情報がほしい」と強く要望があった場合には、できるだけ早く情報記事を作成し、掲載するようにしています。現場で必要とされている情報をタイムリーに届けることを大切にしたいと考えています。
情報の更新については、随時対応しています。たとえば令和7年度から小児慢性特定疾病の対象に追加されたシア・ギブス症候群やトリーチャー・コリンズ症候群なども、制度の改定にあわせて順次反映しています。最近ではAIの活用も進めており、下調べや翻訳作業の効率が上がったことで、全体的な情報提供のスピードも少しずつ向上しています。

「遺伝子・疾患情報」の中で、ピアカウンセリング「希望する」と記載されていない疾患があるのはなぜですか?
GENIEに登録されている疾患の中には、ピアカウンセリングを「希望しない」とされているケースも一部あります。これは、患者さんやご家族それぞれの考えや状況によって、判断が分かれるためです。
たとえば、「同じ疾患の人と今すぐ会いたいわけではないが、こどもの疾患がHPに掲載されることで、他の患者さんの助けになるかもしれないから」「日本語の疾患情報が少ないので、情報発信には協力したい」といった理由から、ピアカウンセリングは希望されず、情報提供には参加されるという方もいらっしゃいます。
印象的だったのは、VPS13B遺伝子に変化を持つコーエン症候群のご家族のケースです。この疾患では視覚機能の低下を伴うことがあり、そのご家族は「もし年上の患者さんと会って視力低下が進んでいる様子を見たら、かえって不安が強くなるかもしれない」とお話しされました。ピアカウンセリングには参加しないという判断をされた一方で、疾患情報の充実には協力したいという意向を持っておられました。
このように、どのように参加するかは人それぞれです。GENIEでは、無理のないかたちで関わっていただけるよう、情報提供とピアカウンセリングの希望は別々に確認し、それぞれの選択が反映されるようにしています。
GENIEにおける、診断がついていない患者さんへの支援や情報提供について教えてください
臨床遺伝医を広く捉えると、現在はIRUDのように診断を進めるグループと、その結果をもとに臨床現場での支援や方針を考えるグループという、二つの軸があると考えています。そのなかで「診断がついていない方々」への対応は、臨床現場で患者さんと接していく私たちの診療科として非常に重要なテーマだと認識しています。
実際、「診断がついていない」と一口に言っても、状況はさまざまです。IRUDの基準を満たしてはいても、検査に進む気持ちの準備がまだ整っていない方もいれば、検査は実施したものの、長い時間が経過しても診断にたどり着いていない方もいます。そうした多様な背景を持つ方々に対しても、私たちは遺伝医療の枠組みの中で支援が必要だと考えています。当院ではこれまでに、IRUDに検査を出してから1年以上結果が返ってきていない方々を対象に、遺伝カウンセラーを中心としピアカウンセリングを実施した経験もあります。また、診断がついていない方に向けたパンフレットを作成するなどの取り組みも行ってきました。こうした活動は、特定の診断名がなくても、患者さんとご家族が情報や思いを共有できる機会として意義があると感じています。
海外でも同様の動きはあり、英国のSWAN(Syndromes Without A Name)をはじめ、米国やオーストラリアなど複数の国で、診断がついていない方々への支援活動が展開されています。GENIEでも、将来的にそうした方々に向けた情報提供やサポートを行えるよう、ウェブサイト上での仕組みづくりを検討しています。遺伝医療の中で見落とされがちなニーズにも目を向けながら、少しずつ形にしていければと考えています。
GENIEという名前に込めた思いを教えてください
GENIEというプロジェクトの前身は、実は2017年頃に、私たちの施設内で始めた取り組みが原点なんです。当時はまだ他の施設と連携する体制もなく、名称も「WEBピア」という仮タイトルのような名前でスタートしていました。その名前の通り、当初から「同じような境遇の方同士がつながれること」、つまりピアカウンセリングを核とした仕組みを作りたいという思いが出発点にありました。そして最初に私たちと一緒に動いてくださったのが兵庫県立こども病院さんで、そこから少しずつ参加施設が増えていきました。
ただ、進めていく中で感じたのは、ピアカウンセリングはこのプロジェクトの柱の一つでありつつも、それだけではない広がりを持たせたいということでした。患者さんやご家族が「つながれること」はもちろん重要ですが、その先にある情報提供や選択肢の提示も含めて、より前向きになれるような仕組みにしたいという思いが強くなってきました。そこで名前も、「ピア」に特化したものではなく、遺伝情報を通じて力を得られるようにという意味を込めて、「Genetic Information for Empowerment:GENIE」という名前になりました。
実はこの名前、音の響きもあって「魔法のランプの精」のようなイメージとも重なっています。ただ、もちろん現実には魔法のようなことが起きるわけではありません。それでも、思いがけないつながりや、ちょっとした前向きさが得られるような場になればという願いを込めています。ネーミングについては、私自身、あまりそういうセンスに自信があるタイプではないので(笑)、診療科のチームみんなであれこれ意見を出し合って決めたものです。GENIEという名前には、私たちがこの仕組みに託した希望がいろいろ詰まっています。

他の希少疾患支援システムと比較して、GENIEの特徴や強みは何ですか?
GENIEの最大の強みは、患者さんと医療者が協力しながら支援のかたちを共につくっている点にあります。患者さんやご家族の声を丁寧に取り入れつつ、医療者が関与することで、情報の正確性にも十分配慮したコンテンツを発信できる体制を整えています。ウェブサイトに掲載する疾患情報も、医学的根拠をもとにしながら、当事者の視点を取り入れて構成しています。また、ピアカウンセリングにおいても、単純につながるだけではなく、医療者が同席して対話を見守ることで、安心して語り合える場を支えることを大切にしています。
希少疾患支援の枠組みとしては、遺伝性疾患プラスと私たちGENIEは比較的近い立ち位置にあると考えています。そのうえで、比較対象として意識することが多いのは、主に患者・家族会と、国の難病対策の一環として設置されている研究班(○○症候群研究班など)の2つです。研究班は、複数の医師が関与しており、疾患情報の正確性や網羅性の高さが大きな強みです。一方で、対象疾患が研究の範囲に限定されるため、支援できる疾患に限りがあるという課題もあります。家族会は、SNSを活用して当事者同士が自発的につながれる柔軟さがあり、特定の疾患に対する結束力の強さも魅力です。ただし、情報の多くが個人の経験に基づいており、内容の精度や医学的な裏付けには差が生じやすい面もあります。GENIEは、これら2つの支援枠組みの「間」に位置づけられる仕組みとして、医療者と当事者が協力し、信頼性と柔軟性を兼ね備えながら、幅広い疾患やニーズに応えることを目指しています。研究班と患者会、それぞれの強みを活かし、当事者にとって安心できる支援を継続的に育てていける点が、GENIEの大きな特徴と考えています。
GENIEの成果と展望
GENIEを運用されてきた中で、実感している成果や反響・フィードバックがあれば教えてください
特に印象深い成果はやはり、「ピアカウンセリングを実際に開催できたこと」です。これまでにUSP9X、DDX3X、KIF1A遺伝子の変化が原因となる疾患の患者さん・ご家族を対象に実施し、その際、複数の方からアンケートへのご協力もいただきました。「参考になった」「参加してよかった」といった評価に加え、「心強く感じた」「安心感があった」「こうした場は初めてでありがたかった」といった自由記載の声もありました。実際にその場に立ち会い、ご家族の表情が明るく変わっていく様子を見る中で、この取り組みの意義を強く感じました。
さらに、当事者の声から広がりが生まれた例としては、DDX3X関係神経発達異常症の患者家族会「DDX3X JAPAN」の立ち上がりがあります。あるご家族が作られていたFacebookページは当初あまり反響がなかったのですが、GENIEのピアカウンセリングをきっかけに参加者同士が連絡先を交換し、そこからメンバーが増えていったと伺いました。私たちが直接家族会を立ち上げたわけではありませんが、GENIEが患者家族をつなぐ端緒となっていることから、支援の一つのかたちとして意味があると感じています。
また、プロジェクト自体の認知が少しずつ広がってきていることも実感しています。たとえば、学会にブース出展をしていた患者・家族会の方からGENIEについての質問を受けることがあったり、サイトのコンタクトフォーム経由で月に1件ほどの相談が届いたりするようになりました。その一部は実際に医療機関の受診につながり、さらにピアカウンセリングへの参加にも発展しています。外来でも「ホームページを見ました。いい取り組みですね」と声をかけていただくことがあり、こうした反応が大きな励みになっています。
一方で、「同じ疾患名の方」だけでなく、「同じ遺伝子の、同じ変異部位を持つ方とつながりたい」という、より細やかな希望をいただくこともあります。対象者がごく限られるケースではすぐにお応えするのが難しいこともありますが、できる範囲でつながりを支え、安心して交流できる場をつくることを、今後も大切にしていきたいと考えています。
GENIEは、患者さんやご家族と協力しながら作り上げていくことを大切にしているプロジェクトです。ホームページ公開当初から使用感や構成について意見をいただき、「こうしたほうが使いやすい」「こんな情報があると助かる」といった声を反映しながら、少しずつ今の形に整えてきました。これからも患者さんやご家族と共に歩みながら、必要とされる情報やつながりを丁寧に育てていけるよう取り組んでいきたいと考えています。

自身が関わる疾患のピアカウンセリングを実施してほしい場合や、診断された疾患の情報がGENIEに掲載されていない場合は、どうすればよいですか?
GENIEは現在、研究としての枠組みのもと、全国11の医療機関と連携して運用しています。まずはそのいずれかの施設を受診していただき、プロジェクトにご参加いただくことが出発点になります。そこから情報提供の対象として該当疾患をホームページに掲載する、という流れが可能になります。
ピアカウンセリングについても、同様にご参加いただいた上で「希望している」という意思を主治医などに伝えていただくことが大切なステップになります。GENIEのサイトに掲載されている疾患の多くが、実は「ピアカウンセリングを希望している」と登録時にお知らせいただいた背景をもとに掲載されているものです。ただし、現時点ではピアカウンセリングの開催数に限りがあり、昨年度は2疾患のみの実施にとどまっています。複数の施設に同じ疾患の参加者がおられ、ある程度の人数が見込まれる場合に実現しやすくなるなど、状況に応じた調整が必要になることもあります。そのため、お申し出をいただいてからすぐに開催できるとは限らないのが実情です。
それでも、声をあげていただくことが次の実現につながる第一歩になります。ぜひ「この疾患についてピアカウンセリングを開いてほしい」「情報を掲載してほしい」といったご希望を、診療時にお伝えいただけたらと思います。
GENIEの今後の展望や、現在直面している課題と解決策について教えてください
GENIEの今後の大きな展望としては、全国各地の医療機関と連携を広げ、より多くの患者さん・ご家族に参加いただける体制を築いていくことがあります。現在は11施設で運用を行っています。ほとんどの施設は、それぞれの施設から個別に我々までお声がけをいただき、協力体制を作り上げていっています。中国・四国や東北地方にはまだ連携機関がない状況ですが、鳥取大学や京都大学、埼玉医科大学が現在新たな参加に向けて準備を進めており、少しずつではありますが同じような志を持った遺伝医療の輪が広がっていると感じています。
一方で、GENIEはあくまで研究としての枠組みで運用されているため、新たな患者さんが参加するには、連携している医療機関での診療・登録が必要になります。そのため、近くに対象施設がない地域の方にとっては、アクセスのハードルが高い現状もあります。たとえば鹿児島県にお住まいの方から、「熊本大学が連携施設だが、移動に2〜3時間かかる」といった声もいただきました。今後は、こうした遠隔地への対応や、地域間の不均衡をどう解消していくかが重要な課題のひとつと捉えています。これに対し、コロナ禍をきっかけに患者さんやご家族の間で普及したオンライン会議ツール、さらには一部施設で導入されている遠隔診療の技術は、今後の可能性を広げてくれる手段だと考えています。対面に限らない柔軟な運用体制の構築は、全国展開に向けたひとつの鍵になるかもしれません。
また、ピアカウンセリングの開催数が昨年度は2回にとどまっていた点も、現在の課題です。実施には一定の準備が必要で、各施設の負担もあることから、「開催に手を挙げることへの心理的ハードル」が存在している可能性もあると感じています。特に「一度手を挙げたら最後まで責任を持たなければ」という感覚が、現場にはあるのかもしれません。こうした負担感を軽減し、もう少し自動化された、仕組みとして回る体制を整えていくことも今後のテーマです。
最終的な理想としては、患者さんご自身が主体的に登録し、必要な情報やつながりにアクセスできるようなオープンな仕組みを整えることです。現時点では難しい部分もありますが、その方向に向けて、少しずつ環境を整えていきたいと考えています。
最後に先生から遺伝性疾患プラスの読者に一言メッセージをお願いします
希少疾患というのは、診療している私たちにとっても、本当にさまざまな課題を感じる分野です。患者さんやご家族のなかには、情報が少なかったり、同じ立場の人と出会えなかったりと、大変な思いをされている方が多いのではないかと思います。GENIEというプロジェクトが、そうした状況のなかで少しでも情報の力や人とのつながりの力になれたら、これ以上にうれしいことはありません。また、この取り組み自体も、皆さんと一緒に育てていけるものになればと願っています。このプロジェクトは私や当院だけなど、個人や単一施設では決して運営ができるものではありません。いつもご協力をいただいている患者さんご家族、各共同施設の皆様に改めて感謝をお伝えいたします。もし何か感じられることがあれば、どうぞ遠慮なくご意見をお寄せください。
「希少遺伝性疾患情報とつながる」「家族同士でつながる」「医療機関とつながる」。その”つながり”が力になる社会の実現を目指して運営されているGENIE。強く印象に残ったのは、GENIEの仕組みが「こうすべき」ではなく、「どうしたらいいか」を当事者とともに考えながら作られていることです。情報の信頼性と当事者の視点の両立を目指しながら、支援を「一緒につくる」という姿勢が、一つひとつのお話から伝わってきました。GENIEの理想像は「いろいろな小鳥が集まってくる大きな木のようなイメージ」と語られた二川先生。小児遺伝学会の会場で、当事者のお子さんたちと、まるで優しいお兄さんのように楽しそうに話されていた姿が、その言葉とぴたりと重なりました。GENIEという仕組みは、これからの希少疾患支援を支える、大きな幹のひとつになっていくのだろうと強く感じました。(遺伝性疾患プラス編集部)