テーマは「紡ぐゲノム医療〜多様なこどもと家族のウェルビーイングをめざして〜」
第47回日本小児遺伝学会学術集会が2月28日(金)~3月1日(土)に開催されました。テーマは「紡ぐゲノム医療〜多様なこどもと家族のウェルビーイングをめざして〜」。大会長で東京都立小児総合医療センター遺伝診療部臨床遺伝科部長の吉橋博史先生には、「小児遺伝性疾患に対する医療の過去・現在・未来~専門医が考える「紡ぐゲノム医療」とは?」の取材で、事前にお話を伺っていました。
テーマにある「紡ぐ」という言葉には、専門家一人ひとりの技術や経験を結び合わせ、患者さんとご家族を支える強い力にしていく想いを込められているそうです。今回のテーマには、「子どもの遺伝医療を支えるすべての人が、かけがえのない存在であること」、そして「そのような仲間による連携が、質の高い子どもの遺伝医療の実現につながること」を願う思いが込められている、と吉橋先生。遺伝性疾患プラス編集部が会場に伺ったのは初日で、吉橋先生が「開会挨拶」の準備をされていた時に一緒にお写真を撮影させていただきました。吉橋先生、お時間をいただきありがとうございました。

患者支援団体の皆様
今回の記事では、当日お話を伺った先生方や当事者支援団体の皆様を中心に、ご紹介します。最初に、患者支援団体の皆様です。編集部が会場に伺った2月28日(金)、ブースにいらっしゃるお時間が合い、掲載についてご了承いただいた団体の皆さまをご紹介します(※写真撮影させていただいた順で掲載しています)。
クリーフストラ症候群日本家族会
クリーフストラ症候群の当事者・ご家族の支援を行う、クリーフストラ症候群日本家族会の皆さまです。定期的にオンラインミーティングを開催されており、当事者やご家族同士で情報交換や交流ができる場を提供されています。同じ悩みや経験を持つ方々とつながることで、日々の生活の中での不安や疑問を分かち合うことができます。
ロスムンド・トムソン症候群 家族会
ロスムンド・トムソン症候群の当事者・ご家族の支援を行う、ロスムンド・トムソン症候群 家族会の皆さまです。最近では市民公開講座が開催され、この希少疾患について詳しく学ぶ機会が提供されました。また、当事者・ご家族向けの交流会も定期的に開催されています。日常的には家族会専用LINEグループで、情報交換などのコミュニケーションが行われています。当日、同疾患と症状やメカニズムが似ており間違えられやすい、ブルーム症候群のご家族の方も同ブースにおられました。
「竹の子の会」プラダー・ウィリー症候群児・者 親の会
プラダー・ウィリ症候群の当事者・ご家族の支援を行う、竹の子の会です。全国各地の支部で講演会や勉強会を開催し、当事者・ご家族が情報を得る機会を提供されています。また、会員同士の交流会を通じて、日々の悩みや経験を共有できる場も設けられています。定期的に支部だよりを発行するなど、積極的な情報発信も行われています。
DDX3X Japan
DDX3X関係神経発達異常症の当事者・ご家族の支援を行う、DDX3X Japanの皆さまです。先天異常症候群をもつ子どもと家族の支援システムGENIE(ジーニー)をきっかけにご家族がつながり、2025年2月9日にウェブサイトを立ち上げられました。現在は、主に交流会を通じて、当事者・ご家族同士が経験や情報を共有できる場を提供されています。GENIEの運営にも携わられている、東京都立小児総合医療センターの二川弘司先生にもお会いすることができました。二川先生、お忙しくされている中で、快くお写真に一緒に入っていただきありがとうございました。
Close to U project
認定遺伝カウンセラー(R)の方々が中心となり、染色体疾患や遺伝性疾患に関わる情報を発信する海外ウェブサイト「Unique」を日本語に訳し、わかりやすく情報を発信しています。
マルファンネットワークジャパン
マルファン症候群の当事者・ご家族支援を行う、マルファンネットワークジャパンの皆さまです。機関誌では、多様な当事者の経験・声や活動の詳細が紹介されています。その他にも、会員さん向けにさまざまなイベントを開催されていますので、興味を持たれた方は、ぜひウェブサイトをご確認ください。
BWS親の会
ベックウィズ・ヴィーデマン症候群(BWS)の当事者・ご家族の支援を行う、BWS親の会です。情報共有や勉強会などの活動を通じて、当事者・ご家族が学び、交流できる場を提供されています。また、BWS症候群の成人当事者の実態調査も行われており、長期的な視点での支援や理解を深める取り組みをされています。
2型コラーゲン異常症 患者・家族の会
2型コラーゲン異常症の当事者・ご家族の支援を行う、2型コラーゲン異常症 患者・家族の会の皆さまです。講演会や交流会を定期的に開催され、当事者・ご家族同士の情報共有や交流の場を提供されています。また、当事者の実態調査を行い、パンフレットや絵本による疾患啓発活動も。関連学会へ参加を通じて、医療従事者向けの疾患啓発活動も行っています。
認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク
原因がわからない、あるいは治療法が見つかっていない、いわゆる難病のお子さんの当事者・ご家族の支援を行う、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワークです。医師、看護師、認定遺伝カウンセラーなどの専門家が、当事者・ご家族からの相談に応じる相談活動を展開中。また、交流イベントの開催や啓発活動も積極的に行われています。サマーキャンプ「がんばれ共和国」などの運営を通じて、当事者・ご家族同士のつながりを深める場も提供されています。
若年性ヒアリン線維腫症
若年性ヒアリン線維腫症の当事者とご家族の方々が、疾患啓発を目的にブースを出展していらっしゃいました。「僕の病気を知って下さい」という看板と一緒に、当事者ご自身が車いすで学会の中をまわって啓発活動をされている姿も印象的でした。
公益財団法人 日本ダウン症協会
ダウン症候群の当事者・ご家族の支援を行う、公益財団法人日本ダウン症協会の皆さまです。相談活動と会報発行を大きな軸として、ダウン症候群に関わるさまざまな活動を展開されています。当事者・ご家族からの相談に対応されているほか、ダウン症のある方々に関わる声を代表して国に要望を出すなど、社会的な働きかけも積極的に行われています。

日本コケイン症候群ネットワーク
コケイン症候群の当事者・ご家族の支援を行う、日本コケイン症候群ネットワークの皆さまです。当事者とそのご家族の交流の場を定期的に設け、同じ悩みや経験を持つ方々がつながる機会を提供されています。また、医師との勉強会や交流会を開催し、コケイン症候群に関する最新情報を発信しています。

これまでに取材した先生に直接ご挨拶できる機会も
会場では、国立成育医療研究センターゲノム医療研究部部長の要匡先生にもお会いすることができました。遺伝性疾患プラスではこれまで、「未診断疾患イニシアチブ(IRUD)」について、わかりやすく教えていただいてきました。IRUDとは、症状があるものの診断がつかない「未診断疾患」の方々の適切な診断に向けて行われている、国家プロジェクトです。要先生、ご挨拶のお時間をいただきありがとうございました。IRUDの詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。
お時間をいただいた皆さん、ありがとうございました!
これまで、メールやオンライン上でのコミュニケーションだけだった患者団体の方とも、今回初めて直接お会いする機会をいただきました。遺伝性疾患プラスの記事への率直なご意見や、活動をする中での思いなどを直接伺うことができ、大変ありがたく貴重な一時を過ごすことができました。皆さんからいただいたお声を、今後の発信につなげていきたいと思います。改めまして、お時間をいただいた先生方、患者団体の皆さん、本当にありがとうございました。(遺伝性疾患プラス編集部)