新たな治療選択肢となる経口剤と点滴静注剤による新規併用療法
アミカス・セラピューティクス株式会社は、成人遅発型ポンペ病を対象とする新規併用療法である「ポムビリティ(R)点滴静注用105mg」(一般名:シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え))ならびに「オプフォルダ(R)カプセル65mg (一般名:ミグルスタット)の製造販売承認を取得したと発表しました。
ライソゾーム病のひとつであるポンペ病(糖原病II型)は、ライソゾーム内でのグリコーゲン分解に関与する酵素である酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の設計図となる遺伝子の突然変異によって引き起こされる、希少な常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)性疾患です。この酵素の機能障害により、ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積し、細胞機能の障害が進行し、筋力、運動及び肺機能が進行性に低下します。ポンペ病の患者さんは世界に5,000~1万人いると推定されています。
現在、日本ではポンペ病の点滴静注剤が2剤ありますが、今回承認された2製剤は成人の遅発型ポンペ病に対して新たな治療選択肢となる経口剤と点滴静注剤による新規併用療法です。
「ポムビリティ」は、マンノース-6-リン酸を多く含むことにより、細胞への酵素の取り込みを向上させた遺伝子組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ製剤です。ポンペ病の筋組織において蓄積するグリコーゲンを減少させる作用が期待されています。「オプフォルダ」は経口剤であり、血中のポムビリティを安定化、活性を維持させた状態で標的組織への取込みを増加させることが期待されています。
国内治験と国際承認を経てまもなく提供開始
同剤において、日本では遅発型ポンペ病成人患者さんを対象とした主たる治験としてATB200-03試験が、またその長期継続投与試験(ATB200-07試験)が実施されました。なお、2020年12月には、厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定されています。海外では、ポムビリティが2023年3月、オプフォルダが2023年6月に欧州連合で承認されました。2025年6月現在、欧州連合の他、英国、米国、スイス、オーストラリア、カナダで承認されています。薬価基準収載の後、製造販売が行われる予定です。(遺伝性疾患プラス編集部)