非コードDNA(ノンコーディングDNA)とは何ですか?

遺伝性疾患プラス編集部

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DNAの約1%は、タンパク質の設計図となる、遺伝情報を持った「遺伝子」です。一方で、残りの99%は、タンパク質の設計図とはならない部分で、非コードDNA(ノンコーディングDNA)といわれています。

非コードDNAは、長いこと「意味を持たない部分」と考えられていました。しかし、少なくとも非コードDNAの一部は、細胞の機能、特に遺伝子の活性を制御するのに不可欠であることが明らかになってきています。例えば、非コードDNAには、遺伝子のオンとオフのタイミングや場所を決定する、「調節機能」をもつ配列が含まれています。このような配列をもつ非コードDNAには「転写因子」というタンパク質が結合し、遺伝子からのタンパク質が作られるまでのプロセスである「転写」を活性化したり抑制したりします。

非コードDNAには、以下に挙げるような、さまざまな役割があります。

0907 03 01what Is Noncoding Dna

「プロモーター」

転写を行うタンパク質複合体が結合するDNA配列です。プロモーターは通常、遺伝子配列の直前にあります。

「エンハンサー」

転写の活性化を手伝うタンパク質が結合するDNA配列です。エンハンサーは、それらが制御する遺伝子配列の前または後にありますが、遺伝子配列から遠く離れた位置にある場合もあります。

「サイレンサー」

転写を抑制するタンパク質が結合するDNA配列です。エンハンサーと同様に、それらが制御する遺伝子の前または後にあり、遠くにある場合もあります。

「インスレーター」

転写をさまざまな方法で制御するタンパク質が結合するDNA配列です。例えば、エンハンサーが転写を助けるのを妨げるインスレーターがあります(エンハンサーブロッカーインスレーター)。また、遺伝子活性を抑制するDNAの構造変化を防ぐインスレーターもあります(バリアインスレーター)。さらに、エンハンサーブロッカーとバリアの両方の機能を持つインスレーターもあることがわかっています。

「イントロン」

遺伝情報がコードされておらず、タンパク質がつくられる前に削除されるDNA配列です。

「エクソン」

遺伝情報がコードされており、タンパク質を構成するアミノ酸配列を決定するDNA配列です。(上記の「非コードDNA」に対し、エクソンは「コードDNA」です。)


非コードDNAには、特殊なRNA分子の設計図となる部分もあります。RNAは、DNAと同じ「核酸」の仲間です。非コードDNAから生成される特殊なRNA分子として、アミノ酸をつないでタンパク質を構成していくのを助けるトランスファーRNA(tRNA)やリボソームRNA(rRNA)、タンパク質の生成を妨げるマイクロRNA(miRNA)、遺伝子の活性を調節するノンコーディングRNA(lncRNA)があります。

非コードDNAの一部は、染色体の構造要素にもなっています。たとえば、染色体の末端で繰り返される非コードDNA配列は「テロメア」を形成します。テロメアは、DNAが複製する際に染色体の末端が削れるのを防ぐ機能をもっています。また、非コードDNAのうち、繰り返し配列から成る部分は、サテライトDNAを形成します。サテライトDNAは、染色体のくびれた部分である「セントロメア」の構成要素であり、ヘテロクロマチンも形成します。ヘテロクロマチンは、遺伝子活性を制御したり、染色体の構造を維持するために重要な配列です。

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非コードDNAの役割の全容は、まだ完全には明らかになっておらず、解明のために研究が進められています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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