臨床研究・臨床試験についてのよくある質問

遺伝性疾患プラス編集部

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臨床研究は、研究者が被験者(試験や研究の対象となる人)と直接やりとりしながら、ヒト(もしくはヒトから採取した検体やデータ)を対象に実施される研究です。

Clinical Research Faqs

臨床研究とは何ですか?

臨床研究は、研究者が被験者(試験や研究の対象となる人)と直接やりとりしながら、ヒト(もしくはヒトから採取した検体やデータ)を対象に実施される研究です。

臨床試験は、医師や研究者が病気を発見し、理解し、コントロールし、治療するための新しくより良い方法を見つけ出すために行われ、科学や健康上の難しい課題を解決するための手段の一つとなり得ます。一例として、大腸がん患者さんにとって最も適切な治療法を見つけ出すための研究があります。患者さんのがん細胞を調べて、正常で健康な細胞ががん化する原因となった遺伝子変異を特定し、最適な治療薬や手術などの治療法決定に役立てるための研究です。今日行われた臨床研究は、将来、がんになる前に患者さんを発見するのに役立てられるかもしれません。

プロトコル(研究計画・手順)とは何ですか?

すべての臨床研究は、プロトコルと呼ばれる規則や手順に基づいて行われます。プロトコルには、その研究に参加できる人の条件、設定された検査・処置・投薬・投与量のスケジュール、研究期間などが記述されます。

臨床試験とは何ですか?

臨床試験とは、1人以上の被験者を1つ以上の介入(プラセボまたはその他のコントロールを含む) に前向きに割り当て、それらの介入が健康関連の生物医学的または行動的結果に与える影響を評価する調査研究です。

臨床試験の「相(フェーズ)」とは何ですか?

試験薬(医療における使用について公的な承認を受けていない薬)の臨床試験は 4つの段階を経て進行します。

第1相臨床試験(フェーズ1)では、試験を行いたい新薬や治療法を少人数の健康な人(およそ20〜80人)で初めて試験します。新薬や治療法の安全性、安全な投与量の範囲、どのような副作用が見られるのかを評価します。

第2相臨床試験(フェーズ2)は、特定の疾患の患者さんを含むより多い人数(約100~300人)に対して、その薬や治療法を試験します。それらが有効かどうかを確認し、さらに安全性を評価します。

第3相臨床試験(フェーズ3)は、患者さんを含む大人数(1,000人~3,000人)に試験薬や治療法を投与し、その有効性を確認します。副作用をモニタリングし、一般的に使用されている他の治療法と比較することで、その薬や治療法を安全に使用するための情報を収集します。

第4相臨床試験(フェーズ4)は、薬剤や治療法が承認され、製造販売が行われた後に実施されます。この試験では、第3相までの試験では検出できなかった、さまざまな集団、長期使用に伴うあらゆる副作用や効果に関するデータを収集するために試験を継続します。

「ブラインド」研究(盲験)または「マスク」研究とは何ですか?

臨床試験の多くでは、患者さんのグループを二つ以上に分け、一方のグループには試験するための薬の投与や治療を行い、別のグループ(対照群ともいいます)には、プラセボ(無害な「偽の」薬)が投与されるか、全く治療を行いません。

この種類の研究では、試験や研究に参加している人が、自分は試験薬を投与されるのか、対照群となっているのか知らない状態で行われます。それは、患者さんが、「自分は有効な薬や治療を受けている」と思うだけで気分や症状が良くなる、いわゆる「プラセボ効果」が結果に影響するのを防ぐためです。

また、臨床試験では「二重盲検(Double blind test)」で行われることがあります。二重盲検とは、参加者だけでなく医師などの研究スタッフも、誰が試験薬を投与され、誰が対照群にいるのかを知らない状態で行われるということです。試験薬に対する患者さんや医師の期待が観察や結果に影響するのを防ぎます。

臨床研究に参加すべきでしょうか?

慎重に実施される臨床試験は、安全で効果的な病気の治療法を見つけるために最も早い方法と言えるかもしれません。参加することで、命を落とすこともあるような病気や重症の病気に対しても、新しい治療につながる可能性があるかもしれません。

参加者は、研究の参加に同意する前に、研究に関する完全な情報「インフォームド・コンセント」を知らされなければいけません。インフォームド・コンセントは、「文書」と「説明を受けるプロセス」の二つに分かれます。文書には、研究プロジェクトの概要(研究の目的、研究手順、潜在している利点やリスクなど)、研究参加者としての個人の権利についての説明が記載されています。また、この文書には研究パンフレットなどその他の補助的な資料が含まれることがあり、説明を受けるプロセスの一部にもなります。インフォームド・コンセントの説明を受けるプロセスでは、研究参加者が研究への参加を開始するか、また継続するかについて、十分な情報を得た上で意思決定を行うことができるように、継続的に説明が行われます。

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