特定の特徴や症状について医師が診断を付けることができない場合、その疾患は「未診断疾患」と呼ばれることがあります。
未診断疾患とはどのようなものでしょうか?
ある特徴や症状について診断がつかない場合に、「未診断の希少疾患」や「未診断の遺伝性疾患」である、と医師から伝えられることがあるかもしれません。未診断疾患の多くは、診断を確定するまでに非常に長い時間を要し、もどかしく感じられる場合があります。実際には診断に5年以上かかることや、非常にまれな疾患では診断がつかないままということもあります。
患者さんやその家族は、希少疾患の専門医の診断を受けられないかを検討することがあります。しかし、もし可能だったとしても、診断がつくことは難しいことが多いです。なぜなら、希少疾患の症例は非常に少なく、同じような症例を多く診たことのある医師は少ない、もしくは全く見つからないことがあるためです。こうした理由により、症状から診断がつくまでに時間がかかってしまうのです。
「未診断疾患」である場合、どのように対処すべきなのでしょうか?
もし、確定診断がつかない場合でも、定期的に医師の診察を受けることが重要です。医師が健康状態の変化を経時的に把握することで診断の手がかりになる可能性があるからです。また今後、医師があなたの病状の診断に重要となる新しい情報を得ることがあるかもしれないからです。
また、大きな大学病院や学術医療機関などの専門医に診てもらうことも、診断の手がかりとなる場合があります。このような医療施設では、医療専門家が最新の検査や技術を利用できることが多いこと、他の医療提供者や専門家が大勢いるため相談しやすいこと、また研究の機会もあることなどから診断が難しい病気を見つける手掛かりが得られる可能性があります。主治医にこのような病院の紹介をお願いしてみるのもよいかもしれません。
また、診療記録のコピーを保管し、いつでも提供できるようにしておくことで、診療に関わる医療者を助けることができるでしょう。
研究への参加は診断のために有用となるでしょうか?
研究調査や臨床試験への参加は、診断に向けてのもう一つの選択肢となりうる場合があります。研究の中には、診断のついていない人を登録し、病気の分類を調べ、診断をつけることを目的とするものもあります。また、臨床試験などでは、特定の症状を治療する薬の有効性を調べるものもあります。
遺伝相談サービスや遺伝カウンセラーへの相談は役に立ちますか?
診断が難しい疾患について遺伝学の専門家に相談することで、手がかりを得られることがあります。遺伝学の専門家や遺伝カウンセラーは、希少疾患に関わってきた経験があることも多く、家族の病歴などから診断の手がかりを見出す訓練を受けています。そのため、医療チームの一員として診断や治療方針の決定に協力することもあり得ます。近くの遺伝学の専門家をお探しの場合は、主治医に連絡を取り紹介してもらうことをお勧めします。