遺伝子治療をめぐる倫理的な問題とは?

遺伝性疾患プラス編集部

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遺伝子治療は、遺伝子DNAという体を構成する基本的な要素を変化させ得る治療であり、特有の倫理的な課題があります。遺伝子治療やゲノム編集をめぐる論点には次のようなものがあります。

  • 遺伝子を変更する技術について、良い使用法であるか、悪い使用法であるかはどのように判断すればよいのか
  • 遺伝的な要因により表れる形質が正常なのか、障害や疾患であるのかを誰が決めるのか?
  • 遺伝子治療は高額であり、裕福な人たちだけしか利用できないのではないか?
  • 遺伝子治療が普及した結果、社会が人々の多様性を受け入れなくなる可能性はないのか?
  • 遺伝子治療を身長や知能、運動能力のような人間の基本的な特性を高めるために使用することは許されるのか?

現在の遺伝子治療の研究は、骨髄や血液細胞などの体細胞を標的にしたものが多く、これらの細胞の遺伝子を治療で変化させても、治療を受けた患者さんの子どもにはその変化は受け継がれません。しかし、今後、遺伝子治療の標的が卵細胞や精子(生殖細胞)になることもあり得ます。この場合、変化させた遺伝子が将来の世代に受け継がれる可能性が出てきます。このような方法は、生殖細胞系列遺伝子治療と呼ばれています。

生殖細胞系列遺伝子治療については賛否両論があります。ある家族が、将来の世代に渡るまで特定の遺伝性疾患を予防できる可能性がある半面、胎児の発育に予想外の影響を及ぼしたり、未知の長期的な副作用を引き起こしたりといった可能性も否定できないためです。そして、生殖細胞系列遺伝子治療の影響を受ける本人はまだ生まれておらず、治療を受けるかどうかの選択はできません。こうした倫理的な課題から、人を対象とした生殖細胞系列遺伝子治療の研究に関しては、慎重である方がよいとする考えもあります。(提供:ステラ・メディックス)

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