遺伝子治療は、病気の原因となる遺伝的な問題を修正することで、病気を治したり予防したりする方法です。新しい遺伝子治療の技術は、強い薬を使ったり手術をしたりすることなく、ヒトの遺伝子の構造を変えることで病気を原因から治せると注目されています。
これまでの遺伝子治療の方法は、遺伝子導入と呼ばれ、次のような治療法が開発されています。
- 病気の症状を抑えるような、新しい遺伝子を細胞に導入する。
- 病気の原因となっている遺伝子の代わりに、異常を伴わない遺伝子を細胞に導入する。
近年、遺伝子治療の技術研究は大きく進歩しています。ゲノム編集(例 CRISPR-Cas9)と呼ばれる新しい技術は、新しい遺伝子を細胞に導入するのではなく、必要な分子ツールを導入することで、治療を受ける患者さんが本来持っている細胞内のDNAを変化させるという、これまでとは異なるアプローチで遺伝子を修正することができます。
ゲノム編集は、次のような治療について研究されています。
- 病気の原因となる遺伝子の変化を修正し、その遺伝子が正常に機能するようにする。
- 病気と闘うための遺伝子の働きを活性化する。
- 不適切な機能を持ってしまった遺伝子の働きを停止させる。
- 遺伝子の機能が損なわれている、あるいは病気につながっているDNAの部位を取り除く。
現在、遺伝子治療は、レーバー先天性黒内障(海外では承認)という目の病気や脊髄性筋萎縮症という筋肉の病気など、ごく一部の病気の治療に用いられています。しかし、多くの遺伝子治療を対象とした安全性と有効性を確認する研究が今も進められています。また、ゲノム編集も有望な技術として研究されており、今後の治療への活用に期待が高まっています。(提供:ステラ・メディックス)