遺伝子治療に関連した治療法(CAR-T細胞療法・RNA療法・その他)について

遺伝性疾患プラス編集部

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遺伝子治療とは呼ばれていない治療法の中にも、遺伝子の特性や遺伝に関わる物質を利用した治療法があります。これらの中には典型的な遺伝子治療とは異なる様式でDNAの配列を変える方法や、遺伝子そのものは変更せず、遺伝子が持つ設計図に基づいてタンパク質が作り出されるプロセスに変更を加える方法などがあります。

CAR-T細胞療法(細胞療法を組み合わせた遺伝子治療)

CAR-T細胞療法(キメラ抗原受容体T細胞療法)は、遺伝子治療と細胞療法を組み合わせて応用した治療法です。細胞療法とは、病気の治療のために特別な機能を持たせた細胞を体内に導入する方法で、CAR-T細胞療法は、特別な機能を持たせるために遺伝子を改変した細胞(遺伝子治療した細胞)を使用するものです。具体的には、免疫細胞の一種であるT細胞に特定の遺伝子を導入することで、T細胞の表面に、キメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれるがん細胞に付着するタンパク質を作らせます。このように免疫細胞を改変することにより、がん細胞だけを狙い撃ちすることができます。

RNA療法

DNAと同じ遺伝物質の一つであるRNAの断片を使って、治療するのがRNA療法です。細胞内では、メッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる分子がDNAの持つ遺伝情報を写し、この情報に基づいてタンパク質が作り出されます。多くのRNA療法では、このmRNAに作用するような人工的なRNAの断片を使用して、合成されるタンパク質の量を変化させ、遺伝子の異常による症状に対しての治療を行います。RNA療法の例としては、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)療法などがあります。また、タンパク質に直接結合する小さなRNAを導入することで、タンパク質の機能を変化させるRNAアプタマー療法と呼ばれるRNA療法もあります。

Re49学習コンテンツ Car T細胞療法・rna療法

エピジェネティック療法

遺伝子に関連するもう一つの治療法としてエピジェネティック療法と呼ばれる治療があります。エピジェネティックとは、遺伝情報の担い手であるDNAの塩基配列の変化ではなく、DNAの化学変化により特定の分子が結合する(修飾される)ことによりその周辺にある遺伝子の働きのスイッチがオンまたはオフに切り替えられるしくみです。エピジェネティックな修飾に異常があると、遺伝子の働きが変化し、その結果、タンパク質のでき方が変わり、病気につながることがあります。エピジェネティック治療は、そのようなエピジェネティックな異常を修正し治療する方法です。

(提供:ステラ・メディックス)

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