遺伝性疾患の予後について、どのように考えればよいでしょうか?

遺伝性疾患プラス編集部

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遺伝性疾患の予後には、その病気についての可能性の高い症状の経過や期間などの見通しが含まれます。一般的に、専門家が患者さんへ病気の予後について説明する時は、病気の回復の可能性も伝えますが、遺伝性疾患はほとんどの場合、一生にわたり症状が続くため、病気の治癒を目指す話よりも症状を管理するための話が中心になります。

疾患の予後には、以下のような多面的な要素があります。

  • その疾患を持つ人の平均的な余命
  • 兆候と症状などの発生時期と悪化の目安、また時間の経過とともに症状が安定するかについて
  • 日常生活における自立などといった、QOLについて
  • 合併症やそれに伴う健康問題の可能性

遺伝性疾患の予後は、疾患ごとの特徴や個人の症状などを含む多くの要因に左右されます。原因となる遺伝子変異がわかっている場合には、それが予後の手がかりとなることもあります。さらに、有効な治療や管理方法が確立されているかどうかは、その遺伝性疾患の経過に大きく関わります。また、非常にまれな疾患では患者数が少なく、予後の予測が難しい場合があり、診断名が不明な場合は予後の予測がほとんどできない可能性もあります。

遺伝性疾患は疾患ごとに予後が大きく異なり、また、同じ疾患であっても予後が異なることがあります。この違いは、遺伝的要因、環境要因、生活習慣の組み合わせによって引き起こされる可能性があるためで、その多くは特定が困難です。

また、遺伝性疾患の中には、生命の維持が難しいほどの深刻な身体的・発育的な症状が引き起こされるものもあります。そのような場合、流産や死産、出生後すぐの死亡を引き起こすこともあり、また幼少期や成人期まで生きることができた場合でも、症状や障がいによって寿命が短くなることがあります。逆に、症状の経過がゆるやかな遺伝性疾患の場合には、関連する健康問題や寿命への影響が少ない可能性があります。それぞれの遺伝性疾患により状況は異なりますので、詳細は主治医に聞いてみてください。

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(写真はイメージ)

なお、病気の予後は確率に基づくものであり、ある特定の経過をたどる可能性が高いことは示されますが、それは必ずしも確実ではありません。ご自身の遺伝性疾患の予後について正しい情報を得るには、主治医など医療従事者に聞くことが一番良いでしょう。患者さんの病歴や症状を把握し、より正確に近い予後を示してくれることが期待されます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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