それぞれの細胞は、その時々に一部の遺伝子だけを発現(オン)させています。残りの遺伝子は抑制(オフ)された状態になります。遺伝子のオンとオフを切り替えるプロセスは遺伝子制御として知られています。遺伝子制御は正常な発達にとって重要な役割を果たしています。例えば、脳細胞が肝臓や筋肉の細胞とは異なる外観や動作をするように、発生過程で遺伝子は異なるパターンでオン、オフされています。また、遺伝子を制御することで、細胞は環境の変化に素早く対応することができます。遺伝子の制御が生命維持に不可欠であることはわかっていますが、この複雑なプロセスはまだ完全には解明されていません。
遺伝子の制御は、遺伝子発現のどの段階でも起こり得ますが、最も一般的なのは転写(遺伝子のDNAの情報がmRNAに伝達されること)の段階です。環境や他の細胞からのシグナルが転写因子と呼ばれるタンパク質を活性化します。これらのタンパク質は遺伝子の制御領域に結合し、転写のレベルを増減させます。転写レベルの制御により、タンパク質がいつ、どれだけ作られるかが決定付けられます。(提供:ステラ・メディックス)