難病の専門医・検査機関を探すために多くの時間が必要、確定診断までさらに時間が
一般社団法人健やか親子支援協会は、希少難病のお子さんとそのご家族を支援する団体です。さまざまな小児難病団体への支援、患児ファミリー就労支援など、支援活動の内容は多岐にわたります。
今回ご紹介するのは、同会がミーカンパニー株式会社と共同運営している「指定難病・小児難病における診療医療機関・精査機関」サイトです。この検索サイトは、かかりつけ医向けに、専門医の所属医療機関と特殊検査・精密検査の依頼先施設の情報を提供しています。専門性の高い医療機関につながることで、難病の早期診断・治療が期待されます。
難病では、かかりつけ医と連携して診療・治療が可能な専門医が数名という状況が少なくありません。同様に、確定診断に必要な特殊検査・遺伝学的検査などを依頼できる施設が国内に数か所しかない場合もあります。そのため、かかりつけ医が専門的な診療や検査が可能な医療機関を探すために、多くの時間を費やさなければならないことが課題(いわゆる難病の「難民化」と言われる問題)です。結果として診断・治療開始までに時間を要してしまうことがあり、その間に病状が進行する可能性もあります。
かかりつけ医向けの検索サイト、幅広い難病を対象に
そこで、これらの問題を解決する一つの方法として開設されたのが、今回ご紹介する、かかりつけ医向けの検索サイトです。2023年12月現在、対象は、以下の小児難病です(成人に多い難病も含まれます)。
- 原発性免疫不全症候群
- レックリングハウゼン病(神経線維腫症I型)
- 自己炎症性疾患
- 先天異常症候群の5グループ(先天異常症候群、早老症、Schaaf-Yang症候群、染色体微細構造異常症候群、MECP2重複症候群・FOXG1症候群・CDKL5症候群)
- 神経筋疾患群の9グループ(神経免疫疾患領域、運動失調症、筋ジストロフィー、HAM(HTLV-1関連脊髄症)ならびに類縁疾患、もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)、成人発症白質脳症、遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患、小児急性脳症、レット症候群)
- 骨・関節疾患 ※今後も掲載疾患領域を拡大していきます。
なお、掲載されている医療機関・検査機関へのご連絡は、医師・医療従事者よりお願いしています。そのため、もし気になるものがある場合には、まず、かかりつけ医に相談してみましょう。
2月末頃セミナー開催、難病の早期診断・治療へつなげる
一般社団法人健やか親子支援協会では、2024年2月末頃に検索サイトに関わるセミナーを開催予定です。同セミナーでは、「難病に関わる社会的課題解決への取り組み」をテーマとした基調講演、「希少難病に関する検査施設と専門医の情報不足を考える」「検索サイトの具体的な使い方の説明」といったテーマでのパネルディスカッションが予定されています。詳細は、同会のウェブサイトで発信予定です。
今年度、難病に関する治験情報も掲載される予定です(編集部追記:「難病・希少疾患の治験情報」がオープンしましたのでコチラからご確認ください)。今後、同検索サイトが、難病当事者の早期診断・治療へつなげるためのツールとして活用されることが期待されます。(遺伝性疾患プラス編集部)