どなたでも気軽にSNSでの情報発信ができる時代になりました。以前より、病気や障がいがある当事者やご家族がご自身の言葉で社会へ発信する機会も増えていることと思います。当事者の困りごとを社会に届けやすくなった一方で、トラブルに遭うケースも。いわゆる“炎上”に巻き込まれ、心ない誹謗中傷を受けることもあると伺います。遺伝性疾患プラスの読者の皆さんからは、「SNSなどで当事者が直接声をあげることは大切だと思う。でも、炎上リスクもあって、不安…。」という声が寄せられています。
そこで、今回の記事では「病気や障がいがある当事者のSNS発信」をテーマに、遺伝性疾患や難病に関わる、当事者・ご家族、支援者、研究者の先生、合計7人に伺いました。病気や障がいに関わる当事者の声を社会に届けるために、皆さんはどのようなことを意識して、日々、SNS発信をしているのでしょうか?お話を伺う中で、例えば、以下のようなポイントが見えてきました。
<SNS発信との向き合い方ポイント>
- 投稿の内容が「他者に対して攻撃的でないか?」「他者を傷つける内容でないか?」「誤解を生む可能性がないか?」を確認する
- 過度にネガティブな内容は投稿しないように心がける
- 断定せず、あくまでも「個人の意見」として発信する
- 投稿するか迷う場合は、下書き保存して一晩おき、翌日に投稿するかを判断する
- 自身の発信が当事者(例:車いすユーザー)の総意と捉えられないように注意する
- SNSでのコミュニケーションでは「相手の立場」を考えることを心がける
- 相手のことを理解し、新しいことを学び続ける姿勢を大切にする
- 子どもに関する投稿は、特に注意する(例:名前や写真を載せない)
- 心無いコメントには反応しないようにする
- 誹謗中傷をするアカウントに対しては、ブロック・ミュートの対応をする
どのような思いでこのような向き合い方にたどりついたのかは、7人の皆さんのコメントをご覧ください。SNSとの向き合い方の正解は、決して一つではありません。ぜひ、読者の皆さんにとっての正解を見つけてみてくださいね。
また、最後には遺伝性疾患プラス・アドバイザーの菅野純夫先生に総括のコメントをいただきました。さまざまな立場の方々がSNS発信で注意していることや工夫を知ることで、読者の皆さんが安心して、ご自身の声を社会に届けるきっかけになればうれしいです。
支援者(当事者)
宿野部武志さん(一般社団法人ピーペック代表理事(CEO)、慢性腎不全などの当事者) |
自分と異なる病気または同じ病気でも、病気との向き合い方や付き合い方は、人生観や生活、背景などによって千差万別です。このことを前提に、その発信により「誰かを傷つけないか」といったことに配慮をして発信するように心がけています。しかし、受け取る方の状況によりコントロール出来ないことも理解したうえで発信する必要がある、と思っています。また、自身の受けている治療方法や服用している薬に関連した発信をする際は、「あくまで自分の場合は」という説明を添えています。
また、医療従事者や企業、行政、研究者といった、医療における他の立場の方を非難するような発信をすることは避けるようにしています。発信によって対立を深めることは誰にとっても利益はないと考えるからです。しかし、それを踏まえた上で、時には自身の意見として冷静に丁寧な言葉遣いで発信をすることもあります。
その他、コメントをいただいた際は基本的には返信しますが、(めったにありませんが)心無いコメントや誹謗中傷のようなコメントには反応しません。そのような発信を続けていたり、リツイートがあまりに多かったりする方がフォロワーにいた場合は、ミュートさせていただくこともあります。
私が言うまでもなく、今やSNSでの発信は多くの人々に伝える手段として、大きな力と可能性を持っているツールに成長しました。半面、さまざまなトラブルなども発生する可能性があり、社会問題化していると思います。個人的には、常に上記に書かせていただいたことを考えながらSNSでの発信をしています。個人アカウントでは病気に関することだけを発信しているわけでもなく、好きなスイーツ、旅先での写真や趣味のことなども発信しています。むしろ、そっちの方が多いかもしれません。ずっと病気のことばかりを考えているのではなく、一生活者として普通の生活を営んでいる日常も、気取らず投稿しています。内容によってはしっかり考えたうえで発信しますが、あまり肩肘張らずにSNSと付き合っていく、というのも長く続けていくうえでは大切なことなのではないかと思っています。
遺伝性疾患の当事者・ご家族
玉置陽葵さん(ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー当事者) アクセシビューティーマネジメント所属/車椅子モデル Instagram:https://www.instagram.com/hiyo_nicosmile |
私は、現在大学1年生です。高校1年生の春、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー患者・家族会「ウルリッヒの会」の副代表に就任することが決まり、SNSによる発信を始めました。
私がSNS発信で心がけているのは、私の症状=ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィーの典型例と捉えられないようにすることです。筋ジストロフィーといってもいろいろなタイプがあり、それぞれの病型によって症状はさまざまです。また、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィーの中でも、症状の個人差は大きいと感じています。私自身は、おそらくウルリッヒ型先天性筋ジストロフィーの中では、比較的症状は軽いほうだと思います。一方で、日常的に人工呼吸器を使っている患者さん、歩行が難しい患者さんも多くいらっしゃいます。ですので、私がSNSで発信することが全てのウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー患者さんに当てはまるというわけではありません。その辺りを誤解されないように発信していきたいと考えていますし、今後の発信でも伝えていきます。また、私の発信が車いすユーザーの総意と捉えられないようにすることも気をつけて発信しています。
私自身、「障がいがある人に対する偏見や差別は、まだまだある」と実感することが多くあります。一方で、いろいろな意見が出てくるということは、多くの方々に発信が届いているということであると思いますし、悲観的にならないようにしています!
私が確定診断を受けたのは2歳の頃です。その頃は、今ほどSNSは普及していませんでした。当時、私の病名を告げられた私の母は「ウルリッヒ病」とインターネットやSNSで検索しても情報が少なすぎる状況を目の当たりにし、「この先、我が子がどういう道を辿るのか全く分からない」と、不安に感じていたそうです。そんな中、たまたま目に留まったある女性の前向きなブログをきっかけに、「なんとかなるはず」と少しずつ前を向けるようになったと聞きました。母がこのような経験をしているからこそ、私自身もSNSでの発信を通じて病気や障がいがある当事者やそのご家族に少しでも希望を与えられたらと思っています。実際に、SNSでの発信を通じて、障がいがある子の親御さんからたくさんのあたたかいメッセージをいただいており、私自身、とても励みになっています!私個人が発信できることには限りがあるかもしれません。でも、自分以外の当事者の皆さんの思いを少しでも多く受け止め、その思いを取り入れた発信ができればと考えています。これからも、応援よろしくお願いします!!
とりちゃん(鳥越勝さん)(ベッカー型筋ジストロフィー当事者) |
皆さん、初めまして。YouTubeチャンネル「とりすま」、X、Instagramなどで障がい・難病に関わる情報を発信しているとりちゃん(鳥越勝)と申します。私が病気や障がいに関わるSNS 発信で気を付けていることは、以下の点です。
- 改善案などの建設的な意見を添えるようにする
- 特定の個人に対しての書き込みなどはしない
- 断定するのではなく、あくまでも個人的な一意見という立場で発信する
- 投稿するか迷う内容の場合、下書きにして一晩おき、投稿を判断する
- 堅いトーンにしすぎない
- 著作権の侵害などに気を付ける
これからも、上記のことに気をつけながら楽しく情報発信をしていければと考えています。
SNSの発達のおかげで情報発信が容易になり、社会に病気や障がいに関する情報を知ってもらうチャンスが増えていると思います。一方で、発信することにはリスクも伴います。しかし、病気や障がいについて知ってもらう貴重なツールとして、SNSをうまく活用して、障がいや難病の当事者が少しでも住みやすい社会になるように発信していくことはとても大切だと思います。余力がある方は、ぜひ一緒に社会に対して発信をしていきましょう!
杉本大地さん(脊髄性筋萎縮症(SMA)II型当事者) X:https://twitter.com/daichiandbon Instagram:https://www.instagram.com/daichiandbon |
SNSでの発信を行う際、特に気を付けていることは、「過度にネガティブな内容を投稿しないこと」です。情報発信が広く行き渡る今、ネガティブな投稿は多くの人々に影響を与え、意図しない反響を招く可能性があります。そのため、できるだけ前向きで建設的な内容を発信するように心掛けています。
また、自分の視点だけでなく、病気や障がいを持ったことがない人々、特に、これまで障がいがある人と接点がなかった人の視点を意識するように心がけています。そのような方々にとって、病気や障がいに関する情報は新しいものだと思うからです。また、場合によっては誤解を招く可能性もあります。そのため、誤解が生じないよう丁寧に説明すること、誠実に発信することを心掛けています。
SNSは、病気や障がいがある当事者の声を直接社会に届ける強力なツールだと考えます。一方で、誤解や批判を招くリスクも伴います。しかし、私たちが伝えたいことを社会に広めるためには、勇気を持って発信することが重要だと思います。投稿の内容が「他者に対して攻撃的でないか?」「誤解を生む可能性がないか?」を常に確認し、時には、冷静な対処を行いながら、自分の経験や考えを適切に発信していくことができれば良いと思います。
える美さん(神経線維腫症 I 型(レックリングハウゼン病)当事者) |
私は、2020年春からX(旧:Twitter)を通して神経線維腫症 I 型(以下、NF1)についてSNSで発信するようになりました。それは、NF1患者さんにおける叢状神経線維腫を対象とした治療薬セルメチニブ(製品名:コセルゴカプセル)がアメリカで承認されたニュースをインターネットで見たことが始まりでした。NF1 は遺伝性疾患で、国の指定難病対象疾病です。私は生後3か月でこの疾患であることが判明し、中学・高校高生時代には手術入院を経験しました。最初は情報収集をしたいという気持ちで SNS を始めたのですが、遺伝性疾患プラスの担当者の方、当事者の方、保護者の方とのつながりを得られました。そこで情報収集だけでなく、私の経験談も発信しようと考えました。
さて、今回のテーマに触れたいのですが、私の場合、疾患の発信で誹謗中傷にあったことはありません。私が運よく、心の優しい方たちに巡り合えたからでしょう。しかし私がインフルエンサーになっていたら炎上を経験したかもしれません。そうした中で、私が気をつけていることは「相手の立場を考える」ということです。私は疾患の発信において、一番近くにいる当事者を理解するよう心がけています。例えば、「全身に神経線維腫が生じる当事者」と「左顔面に腫瘍のある私」の悩みは異なります。「全身の腫瘍のため大衆浴場に行きたくない人」と、「顔の腫瘍のため髪の毛をアップにしたくない私」とでは、違う悩みがあります。同じ症状でも、どこで悩むかも違ってくるため、多様な症状と考え方があることを知って、学び続けながら発信する姿勢が大切だと思います。どうしてそれに悩むのかわからないという態度を表さないよう心がけてきました。
また「比較してくるコメントを受け流す」ことも気を付けています。個人的には「あの人の症状は重いのに、こんなに一生懸命生きていて偉い」「死にたいと思っている人はこの人を見習ったらいいよ。自分の悩みなんてちっぽけになる」など褒めているようで見下しているコメントを好みません。心で感じたとしても、あえて言葉にするのは避けるべきだと考えています。疾患や障がいがある当事者の発信は、時折、同情のコメントをもらうこともあるでしょう。「死ね」や「バカ」といった直接的な悪口でないにしても、同情して比較されるコメントは意外と傷つく発言ではないでしょうか。投稿する時も、コメントする時も、相手をリスペクトする心が大切だと思っています。
最後に、疾患や障がいがある当事者の発信は価値があると思います。ですので、当事者やご家族の皆さんは、その価値ある声を世に届けてほしいです。
PKU育児の日常@あんころさん(フェニルケトン尿症(PKU)ご家族) |
私は、Xでの情報発信を始めてからまだ数か月しか経っていません。そのため、自分自身も試行錯誤の真っ最中です。そこで今回は、初心者なりに心掛けていることをご紹介させていただきます。
まずは、人を傷つける表現はしないようにしています。匿名アカウントではありますがプライベートでつながりがある知り合いが見ても問題ない内容を投稿するよう心がけています。嫌なことがあった後には、つい感情的な投稿をしてしまいそうになります。でも、そういう時には投稿を下書きに保存して時間をおき、冷静になってから内容を再度確認するようにしています。
次に、子どもに関する投稿は、特に載せる情報を注意して確認しています。私はあくまで保護者であり、病気の当事者は子ども自身です。子どもが自分自身の病気とどう付き合うか、周囲にどの程度知らせるかは、子ども自身が決めることだと考えています。なので、子どもの名前や写真などは載せないように気をつけています。ただし、自分で気をつけていても、時々、プライベートでつながりがある方から子どもの名前が入ったコメントをいただくことがあります。そんな時は、コメントをしっかり目に焼き付けたうえで「ごめんなさい…!」と思いながら、非表示や削除といった対応をとっています。
投稿のたびに「心無いコメントが届いたらどうしよう…」という思いは正直あります。でも、SNSで発信する上で、そういう反応はある意味しょうがないことかなという思いもあります。考え方は人それぞれで、自分と違う意見の人がいるのは当たり前ですので。私は病気の認知度向上を通して、我が子がより過ごしやすい社会をつくりたいと考えています。ですから、その目標に向かって、自分の信じる道を行くだけです。幸い、今のところ心無い反応は(見える範囲では)届いていません。今後万が一届いたとしたら、反応せず、そっとブロックすると思います。自分にとって、SNSは楽しい場所であってほしいです。
最後に、「SNSでの情報発信は楽しいですよ!」とお伝えしたいですね。投稿に対して反応をもらえるとうれしいですし、温かい言葉をかけてもらえるとモチベーションにつながります。きっと、リアルの世界では関わることがなかっただろう方々とつながることができて、病気について知ってもらえるのはうれしいです。PKUを含め、認知度が低い病気とともに過ごしていると、周囲から正しく理解してもらえなかったり、周りからの言動に傷ついたりすることもあると思います。私も数え切れないくらい、これまで経験してきました。情報発信を通して、そんな社会を少しずつ変えていきませんか?
研究者の先生(当事者)
並木重宏先生(東京大学先端科学技術研究センター准教授、自己免疫性の疾患の当事者) |
SNSを利用した情報交換は、障がい、難病や慢性疾患のある人を含め、社会のマイノリティの経験をお互いに共有することができるという点でとても革命的だと思います。珍しい病気になった時にSNSでその病名を検索して、同病の方の存在を知ったり、つながったりするなど、以前は考えられなかったことです。似た症状を持つ人たちをつなぎ、知識を共有し、支援につながり、病気で孤独を感じている人が居場所を得られることもあります。
私は自己免疫性の疾患の当事者で、症状が進行した時に退職し、半年間ほど入院をした経験があります。入院した病院は神経疾患を専門とする医療施設で、さまざまな病気の方々が通っていました。病室やデイルームで、患者さんたちと世間話や病気のことについて話したことは良い思い出です。さらに、メディアやSNSで、病気や障がいがある人の日常を知ったことがきっかけで、また社会参加を目指せるようになりました。
私がSNSでの発信で大事だと思うことは、敬意のあるコミュニケーションです。ここでの敬意とは、相手を尊重しよう、相手の背景を理解しようと努めることです。こうした前提のやり取りでは、トラブルにつながることは少ないのではないかと思います。敬意があった場合でもトラブルになりうるケースとして、誤解やミスコミュニケーションがある場合が考えられます。オンラインのコミュニケーションでは、表情や目線、身振り手振り、声色などの言語以外の情報がないため、伝えたいことが実際に相手に伝わるための工夫が重要になると思います。
メールなど文章によるやり取りでは冷たい印象を受けても、会って直接話すとそのような印象が無いこともあります。またSNSでのやり取りでは、短い文章が使われ、書き言葉ではあるものの、文体が崩れたり、省略された話し言葉的なものが用いられたりする時があり、これもミスコミュニケーションにつながることがあります。
意識的かどうかにかかわらず、マイノリティ(少数派)の人に対する偏見に基づく言動や態度のことを意味する「マイクロアグレッション」という言葉が最近使われています。これも、トラブルにつながる可能性があると思います。善意のつもりで使った言葉が、相手にとってネガティブな印象を与えてしまうことがあります。マイクロアグレッションが積み重なると、ヘイトスピーチ、差別、受けた側の健康への影響につながることも知られています。もともと1970年代に使われ始めた言葉で、ジェンダーや人種、LGBTQ+に対する話題が多いのですが、病気や健康状態に関するマイクロアグレッションも存在しています(例:「難病の人は自己管理ができていない」「がん患者さんは働くことができない」、「ちゃんと治療を受ければ治るよ」など)。人を傷つけることは書かないのはもちろんですが、こうした相手への配慮によってもトラブルが減るのではないかと思います。また、日常の場面のマイクロアグレッションは一度きりですが、SNSではオンラインに残り続けます。これによって、マイクロアグレッションが拡散されやすいという特徴があります。ずっと残っているので、後から他の人がコメントすることができます。他の人が無意識の偏見を指摘することで、改善につながることもあります。
マイクロアグレッションの原因として、人が誰しも持っている、特定のグループに対する先入観(無意識の偏見)があげられています(例:「女性は優しい」「男性は理性的である」「黒人は身体能力が高い」など)。無意識の偏見を無くすためには、まず自分に偏見があることを認識すること、異なる考え方を持つ人と交流し、世の中に多様な意見があることを知ることなどが指摘されています。マイクロアグレッションは相手の状況によってもさまざまなケースがあり、すべてを把握することは難しいです。しかし、相手のことを理解し、新しいことを学び続ける姿勢が大事だと思います。
私は中途障害の当事者です。障がいのある先輩方が、日常生活や排泄のことなどプライベートなことについて紹介しているSNSの投稿を見て励まされ、とても勇気をもらいました。皆さま、これからもよろしくお願いいたします!
遺伝性疾患プラス・アドバイザー菅野純夫先生
読者の皆さんへ
今回は、さまざまな立場の方々からSNS発信でのポイントをお話していただきました。遺伝性疾患の多くは希少疾患であり、人数が少ないことから、当事者やご家族の気持ちや悩みを広く社会に理解してもらうには難しさがあります。SNSは個人の声を直接社会に向かって伝える新しい手段として登場し、こうした理解の壁を乗り越えるのに貢献しつつあります。今回お話をいただいた方からも、「他の当事者のSNS発信に救われた」「SNSでのつながりが、モチベーションになっている」といった声があがっていました。
ただ、SNSは不特定多数に向かって一方的に発信する媒体で、さまざまなミスコミュニケーションが起きやすい場です。お話しいただいた7名の方も、非常に慎重に、丁寧に考えてSNS発信を行っておいででした。例えば、発信を受け取る側への配慮として「他者を傷つける・攻撃する内容にしないこと」、同じ当事者に対する配慮として「あくまでも個人の意見(当事者全体の意見ではない)と示す」など、さまざまなことに注意していらっしゃいます。また、投稿を迷う場合には、「下書き保存して一晩おき、投稿するかを判断する」などの工夫も印象的でした。その他、小さなお子さんが当事者であるご家族のSNS発信においては、「子どもが自分自身の病気とどう付き合うか、周囲にどの程度知らせるかは、子ども自身が決めること」という考え方は大切なポイントと考えます。SNSでの情報発信は、勝手に一人歩きし、残り続けるものだという認識も、ぜひ今一度、皆さんと共有できればと思いました。
遺伝性疾患プラスも、さまざまなSNSを通じて発信をしています。今回のお話は、われわれにとっても、自身の発信を反省するきっかけになったと感じています。今一度、SNSを通じての発信のあり方を見直し、新たな気持ちで皆さんとつながることができたらうれしいと考えています。そして、SNSを含め、皆さんの届けてくださった声をもとに、これからも正しく・わかりやすい情報の発信をこころがけて参ります。
取材にご協力してくださった皆さま、本当にありがとうございました!読者の皆さんが、この記事を読んで感じたこと、やってみたいと思ったことなど、ぜひ編集部にも教えてください。もしSNSで発信してくださる場合はメンション(例:X「@QLifeGenetics」)していただけると、うれしいです。私たち編集部も、皆さんの投稿を探しに行きます!(遺伝性疾患プラス編集部)